BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 【二次創作】永久睡眠時間【BL、NL】 ( No.291 )
- 日時: 2013/03/27 10:32
- 名前: 夜藍 (ID: vIJhruab)
- プロフ: 3Z高桂 二人の性格捏造 二人の関係も捏造 鬱です
episode78
「なあ、お前さ、もっとなんか喋んねぇの?」
俺が言うとヅラは静かにこっちを向いた。
月の光に照らされたその顔は今にも散ってしまいそうなほど儚げな花のようで。
「…別に、お前も元々そんなに喋る方ではないだろう。」
ゆっくり紡ぎだされた言葉は凛とした声で空気を張りつめさせるというか、たゆんだ糸をもう一度ピン、と張り直すようなそんな感覚だった。
布団から布団へ移動し、ヅラに近づく。
つぅっ、とヅラの頬を人差し指でなぞるようにして触るとふきゃっ、という奇声を上げた。
「俺の話はいいんだよ。お前は昔もうちょっと喋る奴だったろ。こんな暗い性格でもなかったし。」
「…それは私に対しての文句か?」
「いや別に、そういうわけじゃねーが、もっとこう、笑えばいいなって。昔みたいに。」
昔はもっと笑う奴だった。それにいつも楽しそうだった。
いつからだろう、俺がこいつの手を引くようになってから、付き合い始めて少し経った頃からこいつは喋らなくなった。しかも何故か一人称は「俺」から「私」に変わるし。
「高杉が、笑えばいいなって、思ったから。」
「…あ、ごめ…って、は?」
意識が完全に別の方向に行っていた俺は反応こそ遅れたものの、ちゃんと言葉は聞こえていた。
俺の、為って何がだよ?ちょっと待て、訳が分からんぞ。
「私が笑っている分、お前が笑えなくなっているような気がして、楽しいなって思う時間をどれだけ過ごしても高杉は笑ってくれなかったから。」
そう言って桂は目を伏せ、少し考えた後、枕元の鞄に手を伸ばし何かを取り出した。
ギチチチ…と乾いた音がする。この音、ああこれ、
「でも、それでも喋れないなら、私はこんな声帯、要らないよ?」
鈍く輝くカッターナイフ。その刃を自身の喉元に突きつけて立ち上がる。
「高杉、もっと、喋ってくれる?」
んだよそれ…結局俺のせいってか?それが俺の為になると思うって言うのかよ…
いつも俺は、こういう風に、自分で思ってなくても人を殺していくんだろうな。ああ、こいつも俺のせいで死んじまった。
○感情を切り裂いて。
__________死んでしまったものを取り戻してやるって
__________必死にもがいてはみるけれど
俺が見たかったのは、こんな笑顔じゃないのに。