BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 【二次創作】永久睡眠時間【BL、NL】 ( No.293 )
- 日時: 2013/04/05 12:03
- 名前: 夜藍 (ID: vIJhruab)
- プロフ: 今更えいぷりるふーるねた 高緑
episode79
桜の花はほとんど散ってしまっているというのに俺の相棒兼彼女さんは突然「花見に行こう」だなんて言い出した。
しかも朝から…いやまああんな嬉々とした声と表情で頼まれちゃったら断る訳にもいかねーし、それに_____本当は言いたくないけど言わなきゃいけない事もあるしな。
支度をして待ち合わせの公園へ走ると真ちゃんはもう来ていた。
五分前行動を心掛けているらしい。が、俺は大抵五分は遅れるので真ちゃんはイライラしながら俺を待つことになるのだ。
「それなら来る時間をずらせばいいじゃん」と俺が言っても真ちゃんの五分前行動は人事を尽くす事、らしいので今も俺が遅れてくるのをイライラしながら待ってるというわけだ。
いや、俺が遅れなければいい話なんだけどね?
そんな強情な彼女さんだが、まあ可愛い所もあるし、俺は大好きだ。
「高尾、遅いのだよ!」
「ごめんごめん!妹の相手してたらさ、ちょっと遅れちゃって…」
「嘘を吐くな…!」
真ちゃんの怒った顔がこちらに近づいてくる。あー怖い怖い。
でも今日の俺には必殺技があるんだなーなんてニヤリと笑みを浮かべて見せた。
「真ちゃん、嘘吐くなって言うけど今日は何の日か分かってる?」
「…あ。」
短く声をあげて少し苦い顔をした真ちゃんを見て少ししてやったりな気持ちになる。
いつもエース様の思うが儘にはいかねーんだぜ?なーんて。
ニヤッと笑った俺の顔を不服そうに真ちゃんが睨んだ。
公園の大きな桜の木の下にシートを敷く。
ふわん、と少しだけだけど春の匂いがした。
敷いたシートの上に腰を下ろすと真ちゃんが冷たい炭酸のジュースを差し出してきた。
「やだ、気が利くね真ちゃん!」
「ふん、仕方ないからおごってやるのだよ。」
「…素直じゃないんだからもー!」
俺が笑って隣に座った真ちゃんの肩を叩くと真ちゃんもつられるように少し笑った。
なんて愛おしい日。幸せだ。
でもね、真ちゃん。
弁当の箱を開けた真ちゃんがおにぎりをつまみだして口に運ぶ。
そのタイミングとぴったり俺の声が響いた。
「なあ…真ちゃん…別れたくねーな。」
もう一口おにぎりを運ぼうとしていた真ちゃんの動きが止まった。
目を見開いた真ちゃんは少し考えたような顔をしておにぎりを飲み込む。
「…理由を聞いていいか?」
「言いたくないって言ったら?」
「…別にいい。」
真ちゃんにはどうやら意味が伝わったらしい。
…真ちゃんから告白されたときは本当に嬉しくてパニックで頭が真っ白で何も考えずに返事をしてしまった。
本当はあの時ちゃんと考えておけばよかったんだ。
真ちゃんには約束された未来があることも、このままだと自分のせいでそれを壊してしまう事も。
世間体、というものをちゃんと考えて返事をすれば良かった。
そうしたらこんな無駄に期待させて辛い思いさせることもなかっただろうに。
今日という日に何組ものカップルが「嫌い」だなんて言って笑いあってる事だろう。
なら俺たちはその逆だ。
ごめんね真ちゃん。俺嘘しか吐けないよ。
○嘘つきな午前中
__________どれだけ好きでも
__________嘘を吐いてまで突き放さなければいけなくて
「ごめんね、真ちゃん。」