BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 【二次創作】泡沫少女【BL、NL】 ( No.332 )
日時: 2013/10/07 11:16
名前: 夜藍 (ID: 2XDHCgd7)
プロフ: 火黒   忘れられるかもしれないかも知れない話

episode94















「皆、いつかは死んでしまうんですよ。」
遠くを見つめて言う黒子の言葉はやけに重く響いた。ズン、と腹の底の方が重くなるような。
そんなの、知ってる、けどなんで今そういう事言うかなこいつ。
人を心配させたいのだろうか。そんな儚げな顔で、陰気な面して、夜空の向こうの方を眺めながら重い言葉を呟かれると心配にもなる。
「忘れられちゃうんですよ、火神くん。」
このままこの高さから落ちていこうとするんじゃないくらいの声音だった。とても、苦しそうな。

「それで、自分も、自分自身を忘れてしまって、そうしたら、もうこの世に僕を覚えてる人なんていないんですね。」
それこそ本当に消え入りそうな声だった。黒子の存在と一緒に消えていってしまいそうな声。

影の薄い、存在感の薄い、こいつの事を、覚えていたいと思う、思うけれど。
「覚えてられるか、が問題なんだ。」
「火神くん、あの、すみません、一人でなんか突っ走っちゃって。」
「いや、別に大丈夫だけどよ。」
俺は黒子を心配させないように笑った。そして頭を撫でてやると黒子も薄く微笑んだ。




○忘却

__________誰かに覚えていてほしい、

__________自分がこの世にいたと、生きていたという事を。