BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 【二次創作】深海魚の笑い声【BL、NL】 ( No.335 )
- 日時: 2013/11/21 15:18
- 名前: 夜藍 (ID: Q19F44xv)
- プロフ: 秀徳の司令塔の君へ。Happy Birthday。
episode95
大泣きする夢を見た。
真っ白な部屋の中に一人、ぽつんとお行儀よく座って、座って、ただ目の前のドアを眺めている。
そうしているうちに一人でいる孤独感からか、明確にはわからないのだが何故だか悲しくなり、ポロポロと涙を零す。
最初は雫が白い床にポタポタと染みを作る程度だったのだが、だんだんとよく分からない感情は増していき、嗚咽をしながら、叫びながら泣きじゃくった。
そしてドアに向かって大きな声で助けを求めるかのように、あの男の名前を叫んだ。
すると白いドアはギギ、と音を立てて開き_________
と、そこで目が覚めた。
全くなんの意図を示しているのかわからない夢だったな、というのが率直な感想だ。
目が覚めた時には夢のように涙を流していることはなかった。ただ、夢の続きかのように、叫んでいたからだろうか?声が枯れていたし、涙こそ流れていないが目の縁が腫れていた。
ピリピリと目の縁が痛む。気になって擦ってみれば余計に痛みが生まれて後悔した。
イライラとしながらリヤカー付きの自転車に跨る。あぁ、なんでこんなに今日はついてねーんだろーなー、なんて思って余計にイライラしては地団駄を踏みたくなるような、そんな衝動にすら駆られた。
でもまあ我慢だ。今日が終わればいい事もあるかもしれない。
そう思いながら俺は愛しのエース様の元へと自転車を走らせた。
「しーんちゃん!」
ニカッ、と笑いながらインターホン越しにそいつの名前を呼ぶ。
インターホンの向こうからはいつも通り不機嫌そうな声が返ってきた。
「お前は朝からうるさいのだよ…すぐ行く。」
そうして真ちゃんが出てくるのは数分もかからなかった。
ギギ、とドアが開く。
(あ、)
その光景は、まるで夢の続きのようで。
俺の呼び声に応えた真ちゃんが、俺の元に来てくれるようで。
その緑の髪が揺らめいて、俺の目を射抜くかのような視線をよこした時には、俺はもう夢のように泣いてしまいそうだった。
なんで泣きそうになるんだろうか。なんでなのだろうか。それは夢と同じように分からないままだ。
そんな俺の様子に、外に出てきた真ちゃんは困ったような顔をしていた。
「どうしたのだ高尾…」
「んー?いやっ、なんでもねーよ。」
鼻をすすって俺が笑うと、真ちゃんはそうか、と笑って頭を撫でてくれた。
大きくて、なのにしなやかな細い指が俺の髪の毛をかき乱して、でも優しいその手の温もりに俺はまた泣いてしまいそうになる。
そんな俺の頭を撫でながら、真ちゃんは笑う。
「高尾、誕生日おめでとう。」
「…やだ、もー、ちゃんと覚えててくれたんだな。」
「当たり前なのだよ。」
○救世主様
__________苦しみから俺を救ってくれるのは、
__________いつだってお前で
なあ、真ちゃん、お前は俺に助けられたなんてよく言ってくれるけど、それはお前だけじゃないんだぞ?
俺も、お前に助けられて、それで、こうやって生きてる。
誕生日、ありがとう。