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BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 【二次創作】深海魚の笑い声【BL、NL】 ( No.339 )
- 日時: 2013/12/07 16:02
- 名前: 夜藍 (ID: joMfcOas)
- プロフ: 気付いていたらよかった話 日月
episode97
伊月はこの世で嫌いなものは自分自身だと言った。
「だって、俺は何もできない。」
そう言って眉を下げて苦しそうに悲しそうに微笑む伊月は、消えてしまいそうな、死んでしまいそうな感覚だった。
「最近、どんどん自分が嫌いになっていくんだよ。何もできない、役に立てない、自分に限界を感じて、感じる度に自分が大嫌いになる。なんでできないんだよ、って。」
ソファーにもたれかかった伊月の隣に座ると、伊月が肩に頭を乗せてきた。そしてそのまま話を続ける。
「でも、でもな?日向が俺を好きって言ってくれるだろ?こんな俺をさ、好きって。」
「ああ、好きだけど…?」
言ったあと恥ずかしくなって顔が熱くなってきたが、それがおかしいのか笑う伊月を見ると別にいいか、という気にすらなる。
「ははっ、日向顔真っ赤ー!」
「…るせぇ。」
少ししかめっ面で言葉を返し、伊月を見つめる。
「…そうやってね、日向が俺のこと好きって言ってくれる度に俺は、俺のことを、ほんの少しだけだけど好きになれるんだ。」
伊月は、さっきとは違う幸せそうな笑顔をこちらに向けた。
「だって、大好きな人が俺のことを好きって言ってくれてる…そんなの、嬉しくて、だから、日向がいる限り俺は大丈夫。」
日向がいる限り。
「…俺がいなくなったり、別れようっつったら、どうなるんだよ。」
「…さあ、どうなるんだろうな。死にはしないと思うよ?多分だけど。」
俺は背筋が粟立つのを感じた。笑いながらこいつは何言ってんだろう?いや、分かっていたことだが、目の前にすると、やはり、
○逃げ道
__________好きと嫌いを逃げ道にして、
__________今日もそうやって、息をして、
「だから、日向、一緒にいてね?」
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