BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 【二次創作】深海魚の笑い声【BL、NL】 ( No.344 )
- 日時: 2013/12/21 12:28
- 名前: 夜藍 (ID: 6Nc9ZRhz)
- プロフ: ジャンアル いつか見えなくなる明日の話
episode99
「ねぇ」と俺の顔を見ないまま、そいつは俺を呼んだ。そいつ_______アルミンは読んでいる本に目を向けながら言葉を続ける。
「もし、明日が来なくなってしまったら、どうする?」
またか、と思った。
よくアルミンは例えばの話をする。もしもの話をする。「もしもの話なんて考えてても仕方ねぇだろ?」という俺に対して「もしもでも、ありえないと思うことでも、考えないといけないんだよ…ジャンだってよく知ってるでしょ?」と真面目な顔で返されてから黙ってアルミンのもしも話に付き合うようになった。
にしても、ここ最近のもしも話はお題が重いような気がする。
答えるのもなんだか慎重になってしまうような、そんなものばかりで。
「……明日が来なくなったら、か。」
「そう、明日が来なくなったら…ずっとずっとこのまま巨人と戦い続けて、でもそれに終わりが来ると思えるのは明日が来るからでしょ?」
本のページを捲りながら、アルミンは淡々と言葉を紡ぐ。
「そんな明日が来なくなったとして、時間が止まったように、時が過ぎなくなって、同じような景色をぐるぐる巡るんだ。」
「時間が過ぎていっていると、勘違いしているのは僕たちだけで、本当は同じ景色を何度も何度も見ているって、もしそんな世界になったら…ジャンはどうする?」
本をパタン、と閉じる音がした。
今まで一度もこちらを見なかったアルミンが、本を机に置きこちらをじっと見つめている。
その双眼を見つめ返しながら俺は口を開いた。
「そんな世界だったなら、俺は、」
何度でも、何度でも同じ事を繰り返す世界で、また仲間に会えるなら。
その先にあるのが絶望でも、裏切りでも、もう一度笑いたい。
そう告げるとアルミンは困ったように笑った。
「ジャンってば、なんだか弱気だね。どうかした?」
「どうもしてねぇよ。元々俺は弱い奴だからな。」
「普段なら、そんなことも言わないだろ?」
そう言うとアルミンは立ち上がって俺に近づき、背に腕を回してきた。
俺も片腕で抱きしめ返し、片手で頭を撫でてやる。
「お前こそ、そんな意味深なことばっか言いやがって…なんか知ってんのか、お前は。」
「さあ?」
顔をあげ、俺を見つめ、アルミンはニコッと笑った。
○ループループしてもう一度。
_________何度繰り返すとしても、
_________あなたにまた会いたい。
その唇に俺の唇を重ね、幸せそうな顔をしたその頬を慈しむように撫でた。