BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 【二次創作】さよならネバーランド【BL、GL、NL】 ( No.355 )
- 日時: 2014/06/19 21:47
- 名前: 夜藍 (ID: 16H8oI1w)
- プロフ: あたたかなはなし エルリ
episode104
暖かな、太陽に包まれるような、そんな感覚だった。
突然腕をこちらに伸ばしてきたかと思えばこれだ。わけがわからない。自分よりずっと大きな体躯をしている男に抱き竦められているだなんて。
いや、自分よりずっと大きく思えるのは自分自身が標準より小さい体であるからであって____とここまで考えて少し悲しくなってきた上に自分を抱きしめている男に怒りさえ覚えてきたので思考を止める。
俺は相手の胸に埋まっていた顔をあげてすう、と息を吸い込み相手を睨みつけて口を開いた。
「おいエルヴィン…」
数分抱き竦められ、声を発していなかったせいかくぐもった、掠れた声が出る。
そんな俺の様子がおかしかったのか上の方から相手の笑い声が聞こえた。
抱きしめていたことに対しては何も悪いと思っていないようで眩しいほどの笑顔を浮かべている。
「どうかしたか?」
「…どうかしてるよ、お前の頭がな」
ここまで清々しいとため息をつくほかなく、俺はエルヴィンを無理やり引き剥がし目的地へと急ぐ。
そんな俺のことを追って小走りになりながらエルヴィンは先回りして俺の顔を覗き込むとまたにこり、と笑いかけてきた。
「機嫌が悪いのか?」
優しげな表情を浮かべる眼前の男に、その暖かさに舌打ちをする。
それはエルヴィンが気に入らないからではなく、自分のもやもやとした感情に対するものだったのだがきっと相手には勘違いされてしまっているのだろう。
いや、寧ろ勘違いされたままの方がいいのかもしれない。
お前のことはどうも思っていないんだと、お前の判断は信頼している、でもそれだけなのだと、勘違いしてしまえばそれで、
○その両腕は全てを溶かす
_________その暖かさに
_________思考も何もかも溶かされる
隣で歩いて生きていきたいのだと、告げればお前はどんな顔をするのだろうか。