BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 【二次創作】さよならネバーランド【BL、GL、NL】 ( No.362 )
- 日時: 2014/07/27 19:18
- 名前: 夜藍 (ID: .g3iy5Ut)
- プロフ: 君の誕生日の話 緑高
episode107
七月七日、街は七夕ということで駅やスーパーでは笹の葉とそれにくくりつけてある願い事の書かれた色とりどりの短冊、そして仲睦まじげに手を繋いだり腕を組んだりして笑いあっているカップルがたくさん目に入る。
そんな中______恋人たちが笑いあっている中を笹の葉と同じ緑色の髪の大男と歩くことになってしまったのは俺、高尾和成である。
こんなリア充の祭典とも言えよう日にデートスポットを、しかもこの大男と練り歩かなければならないのか。それは三時間前の話に遡る。
「今日の予定はもう埋まっているか?」
唐突にそんな話を切り出したのは意外にも緑間からだった。
顧問が体調を崩してしまったために今日の部活は中止になり、放課後の予定がぽっかりと空いてしまった。
自主練なりなんなりしても良かったのだが休める時に休んでおかないと身体がもたない。ので、今日は家でゆっくりしようかと考えていたところにこのお誘いである。
緑間からの誘いというのはごく稀、というか俺は誘われたことなど指で数えるほどにしかない。それくらい珍しいことなのだ。
大好きなエース様の珍しいお誘いを断るわけにはいかない、というか誘ってくるということは何か深い理由があるのだろう。
そう思い「空いてんぜ?」と俺は緑間に笑いかけて返事をした__________
というのが約三時間前に起こった出来事である。
あれから約三時間、何故か二人でカフェに入り他愛もない話をして、(いや緑間が他愛もない話をするだなんてなかなか珍しい事なのだが)カフェを出てから三十分ほどお互いあまり話すこともないまま歩き続けている。
いつも沈黙が辛いと思うことはないし、寧ろ緑間といて沈黙が続かなかったことがないので緑間と歩くときは俺は比較的静かでそれが自然なのだが、先程まで天変地異の前触れかと言わんばかりにこの大男との話が弾んだのでその後だとこの沈黙はなかなかにきついものがある。
「な、なあ真ちゃん…」
さすがに沈黙に耐えれなくなった俺が緑間に話しかけると、当の本人は「なんだ?」と首を傾げて俺を見る。
「いやさ、ずっと思ってたんだけどな、なんでここに来たわけ?」
そう、そうなのだ。一番聞きたかったのはこれなのだ。
なんで今日この日に、俺をここに連れてきたのか。だって今日は、お前の、
「………それは、」
深緑のエメラルドの双眼が俺を捉える。でもその眼差しはいつもの様な鋭い眼差しではなく、柔らかくて優しさを孕んだ視線だった。
心なしか口元も緩んでいるように見える。
その緩んだように見える口が開かれるのが俺には悠久の時間のように思えた。
「今日は…俺の誕生日だ。」
「…知ってるよ。」
「だからだ、今年は、お前と居たかった。」
ふ、と緑間は確かに笑った。口元も緩んでいるように見えたのは気のせいではなかった。笑った表情のまま、緑間は言葉を続ける。
「お前と一緒に居れる時間が欲しかったのだよ、高尾。」
「はは、何だそれ!」
思わず笑うと緑間に肘で小突かれる。
「お前と一緒に居れたこの時間がお前からの誕生日プレゼントだ。」
「クッサいこと言うな、真ちゃんは!」
俺は笑いながら緑間の小指と自分の小指を絡めてみた。
ああ、好きだ、やっぱり俺はこの男が好きなのだ。
なんで俺が幸せになってるんだろう、でもそんな気持ちにさせる緑間だからこそ、俺は、
(やっぱ敵わねぇなぁ…)
○七夕の日に
_______織姫と彦星のようではなくとも
_______俺はお前の傍にいて、お前の事を、
東京の夜空に星は数える程しか見えない。それでも俺にとってこの夜空はとても綺麗で、大切なものに思えた。