BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 【二次創作】さよならネバーランド【BL、GL、NL】 ( No.364 )
- 日時: 2014/08/13 15:49
- 名前: 夜藍 (ID: RATzCEO3)
- プロフ: 救えなかった話 エルリ アニメ派の方はネタバレ注意
episode108
貴方が言うほど私は強くなかったのでした。
霧のような雨が降っている。鈍色の雲が辺りを覆っている所為で街は暗く、湿っぽい雰囲気が漂っていた。
湿っぽいのは雰囲気だけではなく、霧雨の影響か本当に湿度が高いようでシャツが肌にぴったりと貼りつく不快な感覚に俺は舌打ちをする。
気持ちが悪い、脱ぎ捨ててしまおうかと考えていたところにノックの音が耳に届いた。
「リヴァイ、少しいいか?」
低い声、誰かだなんてすぐに解る上に了承を得ようとしている言葉を投げかける割にそいつ______エルヴィンは俺が答えるよりも先に部屋に入ってきた。
「お前…」
その行動に呆れ返っている俺を見やり「はは、」と笑いながらエルヴィンは俺の頭に大きな手のひらを乗せる。
「ちゃんとノックはしただろう?」
「誰も入ってきていいなんて言ってねえだろうが…。」
「もし入ってくるなと言われても入るつもりだったと言ったら?」
「お前らしいし至極鬱陶しい。」
眉間に皺が寄っているのが自分でもわかるくらい、自分でもどれだけ不機嫌な顔をしているのかわかるくらいに自分は眼前の大男を蹴飛ばしてやりたいような小突いてやりたいようなそんな気分だった。
いつまでも小さい子の様に、子供をあやすかのように頭に置かれた大きな手は暖かいのと同時に歯痒さを感じる。いつになれば対等に見てもらえるのだろう、きっとそんな日が来ることなんてないと頭のどこかではそう思っているのだがそろそろ子供扱いもやめてほしいところだ。
イライラしながら頭の上の手を払いのけ、「話があるんだろう」と言いながらエルヴィンを睨みつけると「そう怒るな。」と苦笑された後にやっと本題に入った。
「…まあ大体の話は解った、ちゃんと会議には出る。」
「ありがとうリヴァイ。」
ふ、とこちらに微笑みかけ感謝の念を告げられた後思い出したかのように「ああそうだ、」と部屋から出ようと立ち上がりかけていたエルヴィンが俺の方に向きなおる。
「先程から思っていたんだが…リヴァイ、服が濡れているぞ。」
「ああ…この天気と湿度で汗ばんでな…。」
「そのままでは風邪をひいてしまう、早く脱いで体を拭こう。」
どこから取り出したのか分からないタオルとハンガーにかけてあった着替えを片手に持ちながら言うエルヴィンに誰のせいで着替えれなかったんだ、と内心毒づいたのは言うまでもない。
そんな間にもエルヴィンはシャツのボタンを外し、脱がせ、ベッドに座っていた俺をくるりと背を向けさせて背中を拭き始める。
強くも弱くもない、丁度いい力加減だ。
少し後ろに首を傾けて相手の様子を確認しようとすると背中を拭いていたエルヴィンの手が止まった。
「どうした、」と問うより先に暖かいものが背中にぶつかった。それが何の感触かはすぐに解る。エルヴィンが俺の背中に口づけたのであろう______何故そのような行動をとるのかは全く持って解らなかったのだが。
「…怪我はもう大丈夫なのか。」
す、と腕を回し後ろから俺を抱きしめながらエルヴィンが問う。
いつもなら拒むその行為を何故か俺は今回に限ってその腕を引き剥がすことなく「じきに完治するだろうよ。」と答えた。
「そうか、よかった…」
一息ついた後エルヴィンは俺に静かに言う。
「お前のこの背中には、何があるだろうか。」
「……何も無ぇよ」
「随分と背負わせてしまったな。」
「何を今更、」
「お前にあるのは翼だ、人々の希望だ、そう言って。」
「初めからそんなもんなかったよ、俺には何もない。」
そうだ、俺はお前が思っているほど強くなどない、お前が言っている翼も、何もこの背中にはありはしない。
お前のその回している腕が、失ってしまったその右腕が何よりもの証拠だろう、大切なものも何も守ることのできない俺に翼なんてなかったんだよ。
○貴方の求めた翼はどこにもないのでした。
_______そうです私は強くなどなかったのです。
_______貴方の前ではずっとずっと無力だったのです。
もう一度、が叶うのならば両の腕で俺を、