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BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 【リク受付中】さあ廻れ、アルカロイド【BL、NL、GL】 ( No.392 )
- 日時: 2015/08/03 00:57
- 名前: 夜藍 (ID: LaqAx/EG)
- プロフ: しょばろ ロムシュウ 短い 暗い
episode119
「______死んだんだよ、お前は」
眩しいほどに真っ白な百合の花を僕に突きつけながら彼は言った。
彼の地の底から響くような低い声はいつもに増して威圧という二文字を感じる。
男の艶だなんだと昔から訳のわからないことを言いながら鍛えられたたくましい腕の先に反するように握られている華奢で優美な形をした百合の花はビルの隙間から吹いた風でその花弁を揺らす。
「何を言ってるの?よくわかんないなぁー」
僕が肩を竦めると、どん、と更に胸に百合の花を押しつけられるようにされた。仕方が無いので花を受け取る。
夜の街に降り注ぐ月光が花弁の白さをさらに際立たせていた。
「俺の中のお前は死んだ。記憶の奥底にあるお前は、もう死んじまったんだよ。」
ギリ、と恨みなのか、悲しみなのか、何が込められているのか『今』の僕には全く解らない鋭い視線が僕を突き刺した。『今』の僕まで殺してしまわんばかりの凶器のような視線。振りかざされたナイフから目を逸らして空を仰ぐ。
「ああ、そういう…」
酷い趣味だね、そう笑うと彼は少し視線を和らげた。
「いいよそれで、僕は_____『シュウ☆ゾー』は構わないさ。」
花をそっと胸に抱いて踵を返す。
本当に酷い趣味だ、残酷な、そういう意味で。
昔の僕も今の僕も殺すのは君だろう、死んでいくのは君のタイミングだろう。
君が恋焦がれてその胸に抱いたのはシュウでしかなくて今の僕ではない、そう言いたいんだろうけれど、僕の中の君は永久に変わらないのに。
「残酷だなあ、君だけ逃げるなんて」
〇死体に花
____________私の中で君は死んでしまったから
____________こうして花を手向けるのです
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