BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 【リク受付中】さあ廻れ、アルカロイド【BL、NL、GL】 ( No.393 )
日時: 2016/01/02 11:14
名前: 夜藍 (ID: CxgKVnkv)
プロフ: 秀半 信光 ずるい話 みじかい

episode120





あまりにも戦場で無理をする彼に少しばかりの説教をしていたとき。「すまなかった、」と申し訳なさそうに謝った後、突然額に落とされた唇に身じろいでずるい、と僕が口にすると眼前の男は笑った。そう、そういう所、そうすれば僕が何も出来なくなってしまうと解っている所。そこがとてつもなくずるいのだ。
「秀吉のそういうところは嫌いだよ」
「お前に嫌われてしまっては困るな」
真面目な顔で真っ向からそう返してくるところもずるいと思う。それ以上何も言えなくなってしまうのもきっとお見通しなのだろう。
「ずるい男め」
「何か言ったか」
「なんでもないよ」



貴方は私が貴方を本当の意味で殺せないと知っているから何度でもこの凶器を、狂気をぶつけさせるのだろう。最期まで笑っていられるのだろう。
(私のことは覚えていない癖に)
(貴方は変わらない、私がいなくとも。ずるい)
「貴様は弱い」という一言で、貫き抉られたような心の蔵はなんとかまだこの世でも生きようとしている。けれどそれをこれから消し去るのは私で、そして貴方だ。
「最期までずるいお人だ」
その場に倒れる男を見つめながら死ぬのは、何度目だかもう忘れてしまった。
首の骨を絶つ音を頭の奥底で聞くのも、何度目だろう、私は目を伏せてまた深い眠りに落ちた。