BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: ヘタリアでBL小説。 ( No.40 )
- 日時: 2012/02/28 12:56
- 名前: 夜藍 (ID: xBHsg906)
episode12
「傍にいるから」
紅色同志です。人名表記。暗いお話。
「耀くん、せっかくだから外に出かけてみない?」
そういったのは、耀と付き合っている男、イヴァンだった。
あまりにも唐突だが、今日は彼の家に遊びに来ているのだ。もしかしたら近所の案内をしたいのだろうか。少し疑問に思いながらも耀は首を縦に振った。
歩いて、数分。
「寒いあるうううううううう!!!!」
「え?そうかなあ…暖かい方なんだけどなあ。」
「どこがあるか!?」
何枚も何枚も服を着て、防寒具をしているのにそれが嘘のように思えてくる、その寒さ。
耀の家からしたら、おかしいとしか言いようがないが、イヴァンの家では普通なのだろう。「どうしたの?」という顔をしている。
「夜でこれなんだからずっとマシだよ。いつもなら凍死してる。」
「怖いこと言うなある!」
口を開けて驚く耀の頭を微笑みながらイヴァンは撫でる。
「ふふっ、耀くんは可愛いな〜」
「私はお前よりずっと年上ある。」
「え?ぴちぴちじゃなかったのかなあ?」
「うるせーあるっ!」
いつもの会話だ。口を尖らせる耀と、その隣でクスクスと笑うイヴァン。
だが、何か違和感がある。それを耀は感じた。
「お前、行きたいところって…どこあるか?」
「もうすぐつくよ。」
「そんなに行きたい場所あるか?」
「…うん。」
耀の質問に、イヴァンの表情が陰った。何か悪いことを言ってしまったのだろうかと耀の表情も陰る。
「ほら、着いたよ。」
ニコッといつもの調子で笑うイヴァン、そしてその耀の目の前には満天の星空。とても綺麗で魅入ってしまう。
「綺麗あるね…」
「でしょう?」
悲しげな表情を浮かべながらイヴァンは言葉を続けた。
「大切な人と、ここに来たかったんだ。でも…」
皆僕を置いて行ったりしちゃってね、とイヴァンは笑った。
ああ、と耀は感じた。
大切な人たちを犠牲にしたり、置いてきたりして、イヴァンのこの国は大きくなったんだと。
でも代償と言うものはやはり大きくて。
自分もそうなのかもしれない、と耀は下を向いた。
「我は…いるあるよ。」
「え?」
イヴァンが耀の方を向く。その目は驚きで大きく見開かれていて。
「我はお前と一緒にいるある。だから、お前も我といるよろし。」
フン、と鼻を鳴らし、耀はそっぽを向いた。
その様子にイヴァンはクスッと笑い、耀に後ろから抱きつく。
「耀くん、大好き。」
「知ってるあるよ。」