BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: ヘタリアでBL小説。 ( No.49 )
日時: 2012/03/16 14:29
名前: 夜藍 (ID: xBHsg906)

episode14
「私ノ左手彼ノ右手」
・イヴァ菊です。大分変態チックなお話。真っピンク。ある歌を参考にしています。



「んんんー本田くんにとって僕ってなあに?」
唐突に、本当に唐突に、イヴァンは菊に問いかけた。
「…人が自分の事をどうこう思っているのかなんて聞かない方がいいと思いますよ。まあ私の意見でしかないですが。」
「僕は君のそんな言い逃れのような言葉が聞きたいんじゃない。それは君が一番わかってるじゃない。」

薄く彼は笑った。
笑ったけれどそれはとても冷たかった。
水より冷たく、雪より固い。まるで氷のような人ですね、それだけ言い残して、菊はその場から立ち去った。

嫌だった。彼のその笑顔が。

自分に向けられている、好意と言い、期待と言い。

全て壊してしまいたくて仕方がない。


あの日から、ずっと。



それは、ただの強姦に近いものだった。
彼は…イヴァンは確かに菊の事を欲しいと冗談交じりに言っては笑っていた。
だが、冗談じゃなかったと。そう気づいた時には遅かった。

ただ脱がされて
反抗する気力もなかった。
ただ黙って
彼のその紫の凍りついた瞳を
見つめている夜だった。

「暗がりで繰り広げる情事は見えないからいい。だって言いたくて飲み込んだ言葉に本音はあるでしょう?」
イヴァンは笑顔で、凍った笑顔で言葉を紡いでいた。
「じゃあすべて吐き出せばいい。君が苦しんで、我慢している辛いことをこの場で声に出して叫べばいい。言葉じゃなくても、形にならないものでも、ただ叫んだらいいじゃない。」

そう言って、菊の体を、全てを、愛撫して。

「イヴァンさん、私は我慢などしていませんし、声をあげる気もありません。声をあげるなら私は本当に愛し合っている人としか声をあげたりしませんよ?」
菊が言っても、イヴァンは屈せず「そっかー。」とわざとらしく残念な、落胆したような声を出す。
「君のその真っ暗な瞳、嘘も真実も全部見え隠れしてよく分かんないの。だから君の事、苦手なんだよね。」

最後に、彼はそう言った。

なのに、なぜ私を選んだのか。

それだけが菊にとって疑問であった。

「『僕ってなあに』…私は、イヴァンさんの事は別に好きだなんて、思ってない…といえば嘘になるかもしれない…あの時抵抗しなかったのはイヴァンさんにあんなことをされて嬉しかったから?少しでも私にそういう気持ちがあったから?」

ぶつぶつと呟いて、考えれば考えるほどわからなくなる。

「ちょっと気になって追いかけてきちゃったんだけどー…まさか僕の事考えてたりする?」
「ひっっ!!!い、いつの間に!?」
にゅっと壁の向こうからイヴァンは顔をのぞかせる。
いつから聞いていたんだろうとそれだけが菊にとって心配だった。

「その顔、まさか図星だったりする?」
「…まあ、はい。」
「ふふふっ、よかったあー。君の考えてることもう大体わかるよー。顔を見れば一発でね。」
「…本当に?」





じゃあすっごく今恥ずかしいですよ全く。

菊は心の中で呟いた。





分かってくれて、嬉しかった…なんて。





二人が付き合い始めちゃったりするのは、もう少し先のお話。