BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: ヘタリアでBL小説。 ( No.8 )
日時: 2011/09/05 13:23
名前: 夜藍 (ID: 1QpV5ZBE)

episode3「昔々のお話。」
・ジョーカーです。でもどっちかっつーと、アーサー+アルみたくなってます;;シリアスではないけど明るくもない。


あれは…いつの日だっただろうか?

ひょっこりと俺の目の前に現れて、
金色の髪を揺らし、
蒼い瞳でじっと見つめて。

何パーセントの確率かだなんて知らない。

本当に凄い事なんて言うのは分かってるようで誰も分からない。
俺も、あいつも。

でも、あいつは俺を選んでくれて。
首を傾げ、笑顔で俺の名前を呼ぶのだ。

一緒に飯食って、遊んで、寝て。

本当に楽しかった。




そう、楽しかった。








あれはあいつが選んだ道だ。
俺がどう言おうと、変わらない事なんて分かっていたはず。
はずだったけど…

無駄に、泣いたな。

あの日の事を思い出しては苦笑する自分がいて

もう過去の事を思い出すなと思おうとも

それは、実際無理な事で。

無駄な日々ではなかったはずだ

俺と、あいつと。



じゃあ、それでいいんだよ。



そう思いながら、段ボールに荷造りしてる自分がいた。
この家から離れるのだ。
あいつとの思い出のこの家から。
過去から逃げてると言われれば、それも事実だ。
でも、ここにいると時が止まったような気がして…
まだあいつは走り回ってんじゃねーかとか、
余計な事ばかり考えてしまう。

「っはあ…もう、なんなんだかな…」
嫌な事ばかり思い出して、溜息がつい出てしまう。
段ボールに肘をつき、少し休憩を取ろうとした時…事件は起こった。




「アーーーーーーーーーーーサーーーーーーーーーー!!!!!!」




馬鹿でかい声と同時に、どすん!!という大きな音。
シリアスな気持ちなど、すぐにぶっ飛んだ。

なんなんだ、今のは!?

すぐに声のした玄関へ走ると。

「あ、アーサー、君まだいたのかい!良かったよー!ギリギリセーフってやつだね!!」

アルフレッドが、玄関のドアと一緒にぶっ倒れていた。

「何がギリギリセーフだ!やってることがアウトだよ!!玄関のドアはっ倒して来るってどういう頭してんだよ!?人の家を破壊すんじゃねーよ!」

なんでお前がここに、という疑問よりも先にこっちが爆発した。
コイツらしいのか何なのか。
逆に呆れてしまいそうだ。

するとアルフレッドは、「君の説教は聞き飽きたよー」と口を尖らせ、立ち上がり、何故か俺の手をつかんだ。
手を握るなんて、コイツが小っちゃいころくらいじゃねーか?
考えても意味のない事ばかり考えてしまう。

「迎えに来たよ?」
「は?」
「だから、迎えに来たんだよ〜!」
「…いや、余計分かんねえ。」

アルフレッドの言葉がよく分からない。
「迎えに来た」…どういう事だ?

「あー、もー!!君は本当に鈍いよね!イライラしてくるよ!」
勝手にイライラしとけ、と言おうとしたが。
出来なかった。
言葉に詰まってしまって、
喉のあたりが熱くなる。

「だから…その…これからは…」
アルフレッドは俺から少し視線を逸らし、恥ずかしそうに言う。
「…こ、れからは?」
ぐっと詰まっていたものが少し楽になり、アルフレッドに問いかけた。

「これからは____________」








アルフレッドの言葉に、涙が溢れた。
少し悔しいが、こいつにはやっぱり勝てない。






一緒だよ。
今度こそ。