BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: ヘタリアでBL小説。 ( No.81 )
日時: 2012/04/06 09:55
名前: 夜藍 (ID: xBHsg906)
プロフ: 非リア充?別にいいじゃないの。((

episode19
「振り回し上手」
・リトポです。好きなんですが初めて書くのでどうなるやら…。人名表記。


「ちょっと待ってよフェリクス…疲れたから…」
目の前にいる能天気で、バカで、振り回し上手な、だが嫌いになれない相手…フェリクスにトーリスは息を切らしながら言う。

トーリスの手を引いてフェリクスが走るものだからあまり体力と言う体力がないトーリスは毎日の様に息を切らしている。
そう。この手を引いて走る、と言うのはとうの昔からやっていることだ。
見かけによらずフェリクスは体力があり(元気が有り余ってるだけなのかもしれないが)トーリスが息を切らすのをよそに走り回る。

だがフェリクスはその手を離したことが無いのだ。

走り回っているうちはたまに止まって休憩しようと、その手は決して離さない。
ほんの些細なことかもしれないが、トーリスは少しそれが嬉しかった。

自分の手を引いて、気遣ってくれてたりする。
自惚れなのかもしれないが、そう思える。

昔からマイペースでおちゃらけている彼に振り回されることは多々あったが、慣れてしまったせいだろう。
この生活あっての自分だな…と思うようになった。

「トーリス遅いしーもっと足速くなるように神様にお願いでもしたらどうなんー?」
「フェリクスが元気なだけだよ…。うん絶対。」
「まあ俺もちょっと疲れたからあの木陰で休憩しよっかー」

農業地帯ののどかなこの場所の大きな木。
ここでよく二人で話したりする。

「最近トーリス疲れ気味やん?どうしたー?」
「いや…ちょっと最近業務が忙しくて…」

たまに近くに住んでいるイヴァンが来るのも疲れの一つだ。
あの人が来ると全神経を使うため、すごく疲れる。
恐怖に近いものもあるが…

「うへー大変そう…」
「他人事だね…フェリクスは見た感じ元気だけど。」
「うん、超元気。」
「ですよねー…」

ふう、と膝を抱えるトーリスの顔をフェリクスが覗き込む。
「な、何、いきなり。」
「よし、俺トーリスが元気になれるようにお祈りするからっ!」
ニッと笑い、視界からフェリクスが消えた。


と、思うと。


首元に温かい、人肌があたって少しドキリとする。
それが抱きしめられてると認識するのは少し後だった。

「ちょっ、フェリクス!?」
「こうすれば元気になるしー。な?」
同意を求めてフェリクスは顔を近づける。
ずいっと前に出てきた…そしてすごく近くなった顔。
直視できず、トーリスは目をそむけた。

「なんで赤くなるんー?」
「この、バカ…」

元気になるどころか、余計しんどくなった気がする。
胸の高鳴る鼓動と、呼吸と、全てが、脈を打ち、早くなっていて。

ずっと膝を抱えて、二人は昼を過ごした。


そういうとこも好きなんだけどね。


トーリスは聞こえないように呟いた。