BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: BL/GL小説集 ( No.358 )
日時: 2013/08/15 14:23
名前: 黒猫ミシェル (ID: IcK/upD1)

【ストーカーがウザい】ストーカー×医者

『愛しい僕の湊君へ♡
湊君、僕はもう心配で心配で堪らないよ!!
君への心配の性で胃に穴が空きそうなくらいさ。
まぁそうなったら湊君が治してくれるのかな//
湊君のナース姿が拝めるなんて最高だよっ!!
そうそうお昼はサラダだけだったけど、僕は前にもっと食べてって書いたよね?
だからそんなに細っそり痩せてるんだよ!!
僕的にはもうちょっと肉付きが良い方が好みなんだよね。
ほら、ナニする時に骨と皮だけだと痛いだろう?
僕たちが気持ち良くなる為にも、湊君、ちゃんとお肉も食べてね(^_−)−☆
じゃないと僕が家に作りにいっちゃうぞ♪
所で湊君。
最近湊君の病院に通い始めたあの男何だけど…。
どうも湊君を厭らしい目で見ている様な気がしてならないんだ。
アイツに触らせたり何てしたらお仕置きしちゃうからね( *`ω´)
あぁそうそう湊君は…(中略)じゃぁそう言う事で☆
君を愛して止ま無い一人の男より』

………。
一言、良いだろうか?

ゴホン。

「スゥ…長げぇんだよ変態ヤロォーーーーーッッッ!!」

普段無表情な医者の、怒濤の叫び。
医者…保志湊は、額に青筋を浮かべていた。
何とも貴重な瞬間である。

「マジで何なの?何で俺の昼を知ってるの?てか何で俺はストーカーに心配されてる訳?ナース服とか女が着るものであって男の俺が着るものじゃないし。ナニするって何?一生出来ない様にチョン切ってあげたくなるんだけど。むしろしてやろうか?うん、それが良いよね。だって万が一アイツの遺伝子がこの世に残る何て事があったら世界が終わるよね?世界の為にも俺がチョン切ってやろうそうしよう」

ブツブツと形の良い薄い唇から留めなく言葉が溢れ出す。
はたから見れば、まるで呪文を唱える危ない大人に見えなくもない。
そんな自分の状態に気がつかない程、湊はストーカーに対して腹を立てていた。
そもそもこういう手紙が届き出したのは半ヶ月前。
丁度ペットの犬が死んだ時だった。

「マジで家に引き籠りたい。一生外に出たくない。彼女作りたい…」

そして湊の願望が所々入った呪文はまだ続いていた。
10っ分後。

「あ"ー喉がいだい…」

喉を痛めた一人の医者が、ベットの上でシクシク泣いていましたとさ。


そして疲れた医者が眠り六時半に目を覚ました。

「ふぁーぁ…あふっ」

可愛らしいアクビをありがとうっ//
そうストーカーが縄を持って家に上がり混んできそうな程、色気あるアクビをする湊。
痛めた喉は一晩のうちにすっかり治ったらしい。

「うぅーん…ん」

大きな屈伸をしてから、顔を洗いに洗面所へ向かう。
それからキッチンに向かい、コンソメスープを作り食パンを焼いた。
自分が作ったものを食べるこの時間を、湊は愛していた。
そして食器を洗いスーツに着替えれば、そこには若くしてその才能を惜しみなく発揮する、保志湊医師の姿があった。

「皆おはよう」

「あ、保志先生おはようございます!!」

「おはよう」

「朝から先生を見れて幸せですぅ」

「ありがとう」

「おはようございまーすっ」ズッ

「おはよう」

挨拶しながら抱きついてくる看護師その1を躱し
キスを迫ってくる看護師その2をサラリと避け
足を引っ掛けてこようとする部下その3の笑顔の挨拶に無表情で返し
淡々と長い真っ白な廊下を進んで行く湊。
その姿に看護師は頬を染め、他の男の医者は妬みと羨望の視線を送った。

「今日はどうされましたか?」

その落ち着いた声で患者に癒しを与える。
それが湊である。
そんな湊の元に、一人の患者が来た。
艶やかな黒髪を撫で付け、質の良いスーツを着こなす背の高い男である。
男でも魅入ってしまうその容姿。

「先生…」

耳に心地良いバリトンの声。
だがしかし、湊はこの男を前に悪寒が止まらない。
鳥肌もたち、湊の感が告げる。
コイツは…変態だ。
そう、まるであの迷惑手紙を送り付けてくるストーカーの様な…

「…まさか」

自分の考えを即否定する。
こんな男前で、いかにも大会社の社長と言った程の男が、あのストーカーのはず…
チラリ

「何か?」

ニコリと微笑む男。
まるで病院に来る患者に見えない。
ストーカーなのか?
そうなのか?
タラリと冷や汗を流す。

「先生…どうかしました?」

「いえ」

「本当に?」

「あの…」

「何ですか?」

距離がちけぇ!!
間違いない。
コイツはあの変態ストーカー野郎だ。
ゴクリと唾を飲み込み、口を開いた。

「お前…ストーカーだろ?」

目の前の男の赤い唇が、弧をかいた。

「あ・た・り」

数日後

『ねぇ、最近保志先生見なくない?』
『知らないの?何でも辞められたらしいわよ』
『ウソっ何で!?』
『どこぞの社長の専属医師になったとか』
『私は別の病院に移ったって聞いたけどなぁ』

看護師達の間で、色んな噂が飛び交った。