BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: BL/GL小説集 ( No.368 )
日時: 2013/09/06 23:26
名前: 黒猫ミシェル (ID: IcK/upD1)

【バレンタインデー?チョコ美味しいですよね】浮気イケメン×無表情美人

「納谷くん、僕っ納谷くんの為に作ってきたの!!」

「僕もっ!!こ、これ召し上がって下さいっ」

「納谷くぅ〜ん//」

「チョコの変わりに、僕を食べてぇ?」

朝から甘い香りが私の鼻をくすぐる。
いつもより化粧を濃くし、シナを作るチワワ達の猫なで声に鳥肌がおさまらない。

「お前さ、アレ許せんの?」

「何が?」

「何がって…納谷って確かお前の彼氏だったよな?」

「そうだよ?…もぐもぐ」

親衛隊の子がくれたチョコを食べながら、私は親友の話を聞いていた。
何が言いたいのかは分からないけど。

「今日はバレンタインデーだろ」

「うん。私が食べてるチョコを食べられるのも、今日の日のおかげだよ」

「まぁ納谷はイケメンだから、チョコをもらうのは分かる」

「無視?」

「けどさ、さっきのチワワの言葉聞いて何も感じないのか?」

私は首を傾げた。
さっきの言葉と言うのは、『抱いて』ってヤツだろうか?
別に何も…感じないけどな。
魁も良いぜってチワワの腰に手回してキスしてるし。
迷惑かかってる訳じゃないから、何も言う事何てないしね。
そんなこと考えてる私に綾人は怒った。

「普通彼氏があんな事したら怒るだろ!?お前が怒らねぇから納谷は堂々と浮気するしチワワ共は恋人のお前がいるのに平気なツラして納谷を口説くんだよっ!!」

「別に浮気くらいで怒ったりしないよ。まぁ…綾人が私以外と親友になったら怒ると思うけどね」

「おまっ……はぁ。もう良いよ」

諦めたように笑い、私の頭をクシャクシャ撫でる。
私も綾人の頭を撫でてみた。

「空は本当に無表情だな」

「これは生まれつき」

「赤ん坊がニコリとも笑わないって…ホラーだな」

「うるさいよ」

そんな私たちのやりとりを、嫉妬の篭った目で見ていた男が一人。
チワワと熱いキスを交わせながら見ていたのを、私は知らない。


「お帰り、魁」

「…あぁ」

これで私たち恋人の会話は終了。
こんなんで、何で私たちは付き合ってるんだろうね。

「うーん、咲也君のチョコマフィンは美味しいね」

「…」

「お、樹君も腕をあげたな」

「……バレンタインデー」

「うん?」

多分いつも通りの無表情で美味しいチョコ達を食べてたら、魁がボソリ。

「バレンタインデーってチョコをあげる日だよな?」

「うん、たくさんもらったよ」

「お前は俺にくれねぇの?」

「何で?」

絶句した様に固まる私の恋人。
あれ?
私は何か可笑しい事言ったかな?

「魁はチワワ達にたくさんもらったから、別に良いよね?」

「…はっ?」

「いちいち作るのも買いに行くのも怠いし、綾人それだけアレば充分でしょ?」

また黙る魁。

「私は綾人の所に行ってくるよ」

どうせチワワとにゃんにゃんするだろうから、気をきかせてあげる。

「ッ待てよ!!」

「何さ」

私のせっかくの気遣いを無駄にする気?

「お前、俺の事好きじゃねぇの?」

「別に?」

「…別れるか」

「良いよ?」

沈黙が部屋を支配する。
今だに掴まれた腕がミシミシ悲鳴をあげた。

「何でだよっ!?何でお前は俺がキスしても怒らない!?良いってお前は俺の恋人だろ!!?」

魁は何を喚いてるの。
何で泣きそうな顔をしてるの。

「いつも無表情で何考えてんだか分かんねんだよ!!バレンタインデーは恋人にチョコあげるもんだろ!!?違うのかよ!?それを怠いって…ッ!!」

無表情だから何。
チョコたくさんもらったじゃん。

「金沢綾人とはどんな関係なんだ!?その顔で誑かしてんのか!!?その細っせぇ身体で誘惑してんのか!?おい答えろよっ」

「あのさ、私の親友の綾人馬鹿にするの辞めてくれる?親友馬鹿にする人とは付き合ってられない」

だから、別れて。


「バイバイ、魁。結構楽しかったよ」

浮気しまくるその精神とかね。

私は元彼氏を部屋において、親友に別れた事を報告しにいった。


「綾人、私魁と別れたんだ」

「じゃぁ今フリー何だ」

「うん」

「ふーん…ならさ、俺と付き合わね?」

「良いよ」

「マジっ!?っしゃぁ!!」

そう言えば…
魁とも親友から恋人になったんだったなぁ
その前の彼氏もたしかそうだし
あ、私って親友としか付き合ってないじゃん。

「綾人、チョコちょーだい?」

「おう!今作るぜ」

綾人とはいつまで続くかな。
私は無表情でエプロン姿の綾人を眺めた。