BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: BL/GL小説集 ( No.373 )
- 日時: 2013/09/15 23:29
- 名前: 黒猫ミシェル (ID: IcK/upD1)
【もしも○○が男だったらシリーズ】
お題:もしもかぐや姫が男だったら
3.句羅勿の求婚
「香久夜、俺が絶対幸せにしてみせる!!」
「………は?」
ポカンとした香久夜の前に、何やら熱弁を奮う男が一人。
俺と君はああなんだ、こうなんだ!!
運命と言う赤い糸は俺たちの小指に結んであるんだ!!
べラべラベラベラベラベラベラベラ…
その少し厚めの唇は、一向に閉じる様子がない。
香久夜は思った。
あ、頭の可笑しいヤツがいる、と。
「お前」
「お前何て他人行儀な呼び方は辞めるんだ!!あなたと呼ぶんだ香久夜!!」
「五月蝿い黙れ馬鹿が」
ピキンと固まる羅勿。
わなわなと身体を震わせて、信じられないと香久夜を見やる。
「これ以上戯れ言をほざく様なら絞めるぞゴラ、あ?」
「な、何を言ってるんだ…。俺の知ってる香久夜は、こんな事…」
「俺の知ってるだあ?お前が俺の何を知ってるんだ、あ"ぁ?」
キレた香久夜は、胸ぐらを掴みガンを飛ばす。
あの美しい顔が直ぐ間近にある羅勿は、赤面した。
「てめぇは噂を聞いただけだろうが!!違うかっ!?」
「…絵に書け無い様な美しい女人…それが香久夜だと!!」
噂はあっていたぞ。
そうドヤ顔をするクソ野郎な男の腹に、一発。
香久夜は拳をめりこませた。
「俺は男だ馬鹿野郎!!」
「こんなに美しい香久夜が男なはずないだろう!?」
「これが証拠だクソ野郎!!」
「な、ななっ辞めるんだ香久夜…っ」
勇ましく着物をたくし上げる香久夜に、羅勿は必死に制止をかける。
しかし頭に血が上がった香久夜には、そんな事知ったこっちゃなかった。
「これでも俺を女というか!!」
「………」
「おい?………羅勿?」
胸元を露わにした香久夜を前に、ピクリとも反応しない羅勿。
流石に可笑しいと香久夜は羅勿の顔を覗き込み…半目になった。
「気絶してやがる…」
この後部屋に来た翁に、羅勿は香久夜面会禁止を言い渡される。
泣きながら帰る羅勿の後ろ背中を見て、香久夜は思った。
「…せっかく東の海に行って貰おうと思ったのにな」
何だかんだで羅勿は、知らぬ間に命拾いをしたのであった。