BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: BL/GL小説集 ( No.374 )
日時: 2013/09/17 19:47
名前: 黒猫ミシェル (ID: IcK/upD1)

【もしも○○が男だったらシリーズ】

お題:もしもかぐや姫が男だったら

3.右大臣阿部野巳丑の求婚

「香久夜殿我の愛を受け入れるのじゃ!!」

「……どけよジジイ」

いきなり押し倒してきた巳丑に、香久夜の声が低くなる。
澄んだ漆黒の瞳には、嫌悪の色が濃く浮かんでいた。

「嫌じゃ嫌じゃ!!香久夜殿と結ばれなければ我は死なん!!」

「誰もそんなこと言ってねぇだろ」

「スハスハスハ…ああ、夢にまでみた香久夜殿の匂いじゃ」

「失せろ変態!!」

香久夜を押し倒していた巳丑の身体が吹っ飛ぶ。

「俺を押し倒してヤロウだなんざ百年はぇーんだよ!!俺は男だ!!」

つまり香久夜が言いたい事は

男の香久夜は翁に自分の身は自分で守るべしと教わる

ならばと、武術を幼き日から習う

元からの才なのか、あっという間に先輩を追い越し師匠を越える

『俺は弱くねぇよ?』

と言う事であった。

だが、俺を押し倒そう云々から記憶が飛んでいる巳丑。
目を覚まし、またまた香久夜に襲いかかる。
そして胸元を弄る巳丑は、ピタリと動きを止めた。

「な、なななn…なぬぬぬ!!?」

「何だよ、続け無いのか?」

「胸が、胸が…我の胸が…」

「無くて当たり前だろう?俺は男だからな」

聞いてなかったのか?
そう問う香久夜にしかし巳丑は無反応だった。

「柔らかくない…硬い…我の香久夜は…男…?」

「だからそう言ってるだろ?」

「嫌じゃぁーーーーーーーッ!!!!!」

「あ…」

巳丑は消えた。
悲しみの涙を流しながら。
香久夜は思う。

「だよな…普通は男にはこーゆー感じだよな」

今までのヤツがつまり、可笑しかったのだ。
男の自分に求婚などど、馬鹿を通り越して狂っている。

「何か、ホッとしてる自分が嫌だよ」

先ほどわざと胸を弄ぐられていた香久夜は、実は少し恐ろしかったのだ。
男だと気付いても、行為を続けられてしまう事が。
しかし幸運にも、今回の求婚者は正常者だった。

「ーうん、今度からコレは辞めよう」

そう硬く決心する香久夜は、知らない。
正常者なはずの巳丑が、自分に狂ってしまった事を。
正常者なはずの巳丑が、自分を思いながらナニをしているなど。

そんなこと、香久夜が一生しる事はないだろう。

「……寝るか」

香久夜は少しホッコリとした気持ちで寝付くのであった。