BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: BL/GL小説集 ( No.377 )
日時: 2013/09/24 20:55
名前: 黒猫ミシェル (ID: woIwgEBx)

【貴方の側にいつまでも】(主人×側使え)

「隆盛様、隆盛様ッ」

「どうした、燐?」

「どうしたじゃありません!!
真なのですか此度の指揮を取られると言うのは!?」

「ああ、そうだよ」

東の大国我が国『鳳輦』と西の大国『パレオ』は敵対国であった。
いつ戦争が起きてもおかしくはない緊迫感。
双方の睨み合いは永遠に続くかと思われていた。
しかし、その火蓋は落とされたのだ。

「何故なのですか!?
貴方様は現国王隆子様の弟君であられるのにッ」

「だからこそさ…兄君は勝利をご所望だ」

「無茶です!
隆盛様もご存知でしょう!?
我が国の軍事力を?!」

「燐」

そもそも『鳳輦』と『パレオ』が敵対するのは、その国の性質にあった。
東の賢君、西の武君とそれぞれの国王が謳われる様に、『鳳輦』は知力、『パレオ』は武力が優れている。
国民達はその事に誇りを持ち、逆に自分等を間反対の国を乏し、下げずむ。

「兄君の命だ。
今更致し方あるまいよ」

「隆子様は何故それほど隆盛様を邪険に扱われるのです!
私は…私はそれが悲しくて悲しくて仕方ありません…」

「小心者の兄君は私が怖いのだよ。
いつ謀反を起こすのかと、それを恐れている。
私がそんな事するはずなかろうに。
…今回で、私を葬ってしまおうと考えられたのだろう」

「もう、決定なのですね」

「ああ」

燐はその思慮深さが伺える榛色の瞳を見つめた。
また隆盛も、己の側使えの美しい漆黒の瞳を見つめる。
先に口を開いたのは、燐だった。

「ならば…ならば隆盛様、私も貴方様にお供いたします」

「それはならぬ!」

「もう決めたのです!
それに我が主が敵地で戦っていると言うのに、私目が一人ここにいるなど!
許されるはずありませんッ」

感情の昂ぶりから震える声で、燐は必死で訴える。
危険だと分かっている所に、彼を行かせるのは嫌だった。
しかし、それは隆盛とて同じ。

「私が許す!
そなたはここにいるのだ、燐。
どれだけ危険か分かるだろう?」

「だからです!
私が許せないのです!!
そんな危険な場所に…貴方様お一人で行かせられましょうか?」

「燐…」

「隆盛様お願いですから…私を置いて行かないで下さいませ…」

濡れるそのきめ細かな肌に手を伸ばし、涙を拭ってやる。
燐の問いに、隆盛は優しい口付けで答えを返した。

「んっ」

「…これは、私の我が儘だ燐。
愛する者と最後を共にしたい、私の最低なね。
こんな私を許してくれるかい?
嫌いになる?」

「いいえ、いいえ隆盛様。
誰が貴方様を嫌いになどなりましょうか?
私はいつまでもお側におります…。
例え貴方様が亡くなろうとも、朽ちようとも。
私は片時も側を離れません」

「燐…」

「愛しております…隆盛様」

薄暗い部屋で、二人の影が重なった。