BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: BL/GL小説集 ( No.380 )
- 日時: 2013/09/29 14:16
- 名前: 黒猫ミシェル (ID: woIwgEBx)
【嫉妬】若干ファンタジー
何で何でどうして?
あんなヤツより僕の方が可愛いのに!
どうしてあなたはそんなヤツを気にするの?
あんなに尽くしてあげたのに!
言われた事は何でもしたのに!!
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い…
浮気相手よりも、自分の恋人に対する憎しみで狂いそう。
持っていた包丁で自分の手首を切ろうとした時、
「なら…復讐しちゃいましょう?」
涼やかな声が、聞こえた。
「復讐?…復讐何て出来るはずないじゃん」
「出来ますよ。あなたが望むならね」
「僕が、望めば?」
「ええ…それなりの対価はもらいますが」
綺麗に微笑むその人に、僕は一もなく頷いた。
どうしても復讐がしたっかった。
僕を振った事を、後悔させたかった。
「対価何て何でも良いよ。まずはアイツの家を潰したい」
「ええ、分かりました。
対価は…そうですね、あなたの可愛らしい耳をもらいましょう」
「耳?」
「その方の家が潰れた時、あなたの耳は聞こえなくなります」
そう言って、彼はいなくなった。
☆★☆
耳が、聞こえなくなった。
噂で、アイツの家が倒産したって聞いた。
アイツは今の恋人の所で厄介になっているらしい。
そんなの、許せるはずないじゃん。
ねぇ?
「次はアイツの恋人が、アイツを嫌いにさせて」
「良いですよ」
コクリと、彼は頷く。
聞こえなくなった僕の耳に、彼の言葉は聞こえない。
あの澄んだ声が聞こえないのは、少し悲しかった。
☆★★
手が、動かせなくなった。
でも、アイツはきらわれた。
もう住む場所もないんだって。
それを聞いて、とても嬉しく思った。
「次は、そうだなぁー」
「…」
「アイツのさ、声を奪ってよ。後、耳を聞こえなくさせちゃって」
「ええ」
★☆★
この男が来てから数日がたった。
耳が聞こえなくなった。
手が動かせなくなった。
足も動かせなくなった。
声も出せなくなってしまった。
でも、僕は後悔してない。
次の願いを叶えたら、次は何を払わなければならないんだろう?
『アイツを見たい』
彼は優しく頷く。
『後、もう死にたいかも』
ニコリと、始めて満面の笑顔を彼は見せた。
★★☆
アイツは、蹲っていた。
ボロボロで異臭を放ってて、目に生気はなかった。
あの僕が好きだった堂々とした姿はそこにはなくて。
でも、何も感じなかった。
ただ、
ああ、アレ何だって
そんな感じ。
『もう良いや。最後の願いは僕を殺して』
『ええ、あなたのその汚れた魂をもらいます。
契約は完了しました。
あなたの魂は永遠ともがき苦しみ、後悔の念に苛まれるでしょう』
綺麗な字で埋められていくスケッチブック。
ただそれを無完了に見つめた。
『その魂は救われる事はなく、天に上がることもありません。
一生私たち悪魔に弄ばれます。
それが人一人の人生を壊したあなたからもらう、最後の対価です』
安いものでしょう?
そう彼から発せられた言葉も、耳が聞こえない僕には届かない。
『ありがと。
僕の復讐を手伝ってくれて』
「どういたしまして」
彼は何か口にし、僕の胸に手をかざす。
「さようなら、可哀想な人間よ」
彼に伸ばしていた僕の手は、パサリと地に落ちた。