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BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 【萬】勿忘草を抱いてしぬの【短編集】 ( No.31 )
- 日時: 2012/12/29 20:54
- 名前: きりんマスター ◆Oz2F/SG7Tw (ID: rBxtXU8t)
「どうか、幸せで」
溜め息と共に吐き出された言葉は、なぜだかすとりと胸におちた。つまり私は、驚くほど簡単に、その言葉を受け入れてしまったのだ。その言葉をおとした彼自身が、現在進行形で私の首にほっそりとした指をかけているにもかかわらず。
ぎりぎり、と少しずつ指の力が強まっていくのを感じながら、私は微笑む。——うまく、笑えているだろうか。今まで彼には醜い姿を多々さらしてしまった。せめて死に顔くらいは美しくありたい、と比較的クリアな頭で考える。
「うん、幸せに、なるから」
「ほんとに?」
そっと言葉を紡ぐと、すぐさま疑いの言葉がかえってきた。信用ないなあ、と思わず苦笑いしてしまう。今まで閉じていた目を開けてみると、私が好きな彼の瞳はいつもどおりに静かで、ああやっぱり彼なのだ、と妙に安堵する自分が居て。そんな自分がおかしくて、また私は微笑みをこぼす。
そんな私を、不安そうな——それでいて慈しむような目でみやってから、彼はそっと私の唇に顔をよせた。
「幸せに、なるんだよ」
囁かれた言葉、その声音は、きっとこの世の誰よりも優しいものだろう。私は不思議とそう確信し、もう一回目を閉じた。
◆優しくその呼吸を奪おう
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直接ちゅっちゅしてないからセーフだよね?……え、セーフだよね?(冷や汗)
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