BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 神様、それはあまりにも不公平です。 ( No.24 )
日時: 2012/05/05 22:04
名前: 夜藍 (ID: DZWfhZUD)

第六話。

「私は皆に見えぬがそれはお前に結構迷惑になるだろう」
いきなり言うもんだからびっくりして棚に小指ぶつけたじゃねえか。いってえ。責任とれフィリアーの馬鹿!
「まあそりゃ僕がお前に話しかけたら空中に話しかけてるキチガイになり兼ねないからな、どこぞの妖精アハアハやってる眉毛みたいに。」
痛みを堪えながら涙が出そうな右目を押さえてやや上擦った声で僕が言うとフィリアーはやはり、と人差し指をたてた。
「少し世界を変えた方が良さそうだ。」

一瞬僕は「コイツ馬鹿なのか」と思った。しかし、だ。
目の前にいるのがもし普通の人間なら中二病かただのキチガイかだ。
だがコイツは違う。人外な上に神様だ。世界を変えるなんてたやすい事だろう。
実際僕の運命を変えてるんだし。
でもまさか世界変えるって根本的に変えられたら困るぞ。
僕がちょっと待て、と止めようとしたが…。

少し、遅かった。

パチン、と乾いた音が部屋に響き渡る。
それはまるでどっかのマジシャンがカッコつけてやる指パッチンと気づいたのは音が聞こえて数秒後の事だった。
するといきなり日は傾き、窓から差し込むのは朝日ではなく月光にかわる。
まるで一日を早送りしたようだ。世界がまるでビデオテープ。ワンダフォーなのかなんなのか全くわからん。時計の針もぐるぐるまわって七時四十七分を指す。

「よし、これでOKだ。」
腕組みをしながらフィリアーは得意げに言う。
「光、下に降りてみろ。」
やや命令口調なのがいらつくがまあいい。僕も変わった世界とやらを見てみたい。
トタトタとリズムのいい足音を二つ運びながら階段を駆け下りる。
その足音に気づいたのかひょこっと母さんが階段の下のリビングから顔を出した。
「ご飯呼ぶ前に来るなんて珍しいじゃないか、光。」
「まあ、たまたまだ、たまたま。」
神様に言われて来ましたなんて言える訳ねえ。

その神様は隣でニコニコと笑っている。なんだ、何がそんなにおかしいんだよ。
顔になんかついてるとか?母さんの顔がおかしいとかか?母さんの顔は生まれつきこうだし僕の口の下には何がついてる訳でもない、ただのホクロだ。
次の瞬間にそんなくだらないことばかり考えている僕の思考回路は完全に停止する事になるのだが。

「フィリアーくん、どう?もうこの家には慣れた?」
「あ、はい。おかげさまで。」
ハンバーガーショップで頼んだら店員がくれる可愛い笑顔をフィリアーは母さんに向けている。
いやちょっとまて、問題はハンバーガーショップでもスマイル0円でもない。

母さんがフィリアーを認識してるってことだ。
それだけじゃない。まるで親戚か知り合いかのように接している…。

ははん、一つ分かった。


神様は無駄な事に力使って生きてる。