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BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 神様、それはあまりにも不公平です。 ( No.39 )
- 日時: 2012/05/14 10:46
- 名前: 夜藍 (ID: eVWzcu6j)
- プロフ: 今日は代休なので一気に更新します!
第十四話。
雨月とは道が違うので途中で別れた。
雨足はだいぶ弱くなってきていたから、雨月の傘なしでも大丈夫だ。
空を覆っていた分厚い雲は取り払われ光が射し込んでいる。
もうすぐこの雨もやむのだろうと思いつつ、空に向けた視線を前に戻すと…。
「うわっっ!!」
「びっくりした?」
目の前に、佐久真がいた。
こちらの方面に家がある生徒は僕と佐久真しかいないので、出くわすこと自体は珍しくもなんともないのだが…。
いきなり目の前に立ってると。しかも顔が近すぎてびっくりした。鼻先が触れそうだ。
「驚かさないで下さいよ…。」
「ふふふっ、羽生くん可愛い。」
雨月といい、佐久真と言い、僕を可愛い可愛いってなんなんだよ。バカにしてるだろ!!
僕だって一皮むけば獣なんだよ!男なんて大抵そうさ!
…いや知らないけど。
「途中まで、一緒にどう?」
ニッコリ笑う佐久真に僕は「いいですよ」と笑い返した。
「フィリアーくんっていい人ね。」
歩きながら、佐久真が話を持ちかける。
…僕の体を狙ってる人がいい人だなんてそんな訳がない。
「…そうですかね?」
「そうよー。気が利いて、優しくって…ちょっと変わり者だけど、モテモテよ?」
ちょっとどころの騒ぎではない事なんて、僕が一番知ってるけどな。
あんなやつがモテモテなんて絶対世の中おかしい…あ、あいつが作り上げた世界だった。モテモテで当たり前か。
だとしたらあいつはすごく理不尽な世界を作り上げたと思う。
絶対にあいつに惚れる事なんてねーんだからな…
「ねえ、羽生くんってフィリアーくんと親戚関係なんでしょ?」
「はい、そうですが…」
「ふーん…。」
何故か佐久真は宙を眺め、考え事をしている様だった。
僕たちの平凡な世界の歯車が、徐々に、徐々に、加速していく。
運命か宿命か…
知ってるのは神様一人。
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