BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 神様、それはあまりにも不公平です。 ( No.42 )
日時: 2012/05/18 13:38
名前: 夜藍 (ID: eVWzcu6j)

第十七話。

勉強が手につかない。
僕は机に突っ伏して、また顔をあげて手元にある手紙を見た。

可愛らしい熊の封筒。宛名にはこれまた女の子らしい可愛らしい丸っこい字で「フィリアーくんへ」と書かれてある。
さっさと渡せばいいのに、何故か僕はこの手紙をアイツに渡すことをためらっているのだ。

本当にアイツが僕を好きならきっとアイツは佐久真を振るだろう。
そうしたら佐久真が傷つく。
それに…

…それに、なんだよ。

別に、そんな事思ってねえよ!!なんにも心配じゃねえ!!

「光、何を一人でジタバタしておる。気持ち悪いぞ。」
「のわっ!!いつの間に…噂をすれば何とやらだな…っつーか気持ち悪いとか一番お前に言われたくねえセリフだっつーの!!」
びっくりした反動でイスから立ち上がり、のけぞった僕を見てフィリアーは少し笑っている。バカにしてるぞコイツ。反論も聞いてないみたいだ。

…ここにいるんだし、今渡すか。

「これ。」
「なんだこれは。」
僕から手紙を受け取ったフィリアーは首を傾げつつ封を切る。
「…佐久真からのラブレター。」
「佐久真…ああ、美琴か。」
美琴…だと!?呼び捨てだなんていつの間にそんな関係になってるんだよチクショウ!
飛ばされたこの物語の一か月間お前らに何があったっていうんだ!濃密すぎるだろ!たかが一か月、されど一か月って事か!?そうなのか!?
一人でキレても仕方ないのだが…

「『いきなりこんな手紙ごめんね』…から始まり、『付き合ってください』で終わっている…これが世に言うラブレターなのか…!!」
「いやだからそう言ったじゃねえか!」
「はてさて、返事はどうしようか…」
「え、何?僕は無視ですか!?」
「うーん、どうするべきかなー。」
「話聞けよおい!」

僕を完全に無視して笑顔で手紙を眺めているフィリアー。
嬉しそうにしやがって。デレデレしやがって。なんなんだよ…
くるり、とフィリアーに背を向け勉強にとりかかると、フィリアーがいきなり話しかけてきた。

「妬いているのか?光。」
「はっ!?んなわけねえだろ!お前どんだけ自意識過剰なんだよ。」
フィリアーに向き直って反論するけど聞いちゃいない。顔がにやけてる…。自意識過剰な上自信過剰なのか。お前は僕を惚れさせられたと思ってるのか。

「なあ、妬いているのか?なあ?」
しつこいな。殺虫剤振りかけてもなかなか弱らないからついスリッパで叩きたくなるようなゴキブリよりしつこい!

イライラしながら立ち上がり、窓際に立つ。
ここからフィリアーまでだいぶ距離がある。飛び蹴りは楽勝だ。大丈夫、僕ならできる。

よし、行こう!そして逝っちゃえフィリアー!と思い体制を変えたその時。

フィリアーが目の前にいた。

いつものように反抗する間もなく、いつの間に?っていう感じの速さで目の前にいた。

「妬いていないとは悲しいな…こうでもすれば分かるか?」
そう小声で言って、








唇を、重ねられた。








…ファーストキス、あっさり奪われたんですけど。
いつもなら攻撃できる脇腹も、今は力が入らなくて攻撃できない。
びっくりしすぎて一瞬何が何なのか分からなかったが…

唇が離れて数秒、頭がボーっとして突っ立っている僕を、現実に引き戻したのは…




「きゃあああああああ!!!!」



外から聞こえる、誰かの叫び声だった。