BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 神様、それはあまりにも不公平です。 ( No.50 )
- 日時: 2012/05/22 07:58
- 名前: 夜藍 (ID: eVWzcu6j)
第二十話。
自分の家へ帰って荷物を降ろして着替えることもなく、佐久真はそのまま僕の家にやってきた。
お母さんに挨拶をして笑う佐久真は何故か緊張してるようだった。
こう、なんていうの?一大決心をしたかのような顔つきって言うか…。
いやでも、確かにこの時彼女は一大決心をしていた。
今になって考えれば、彼女の人生で過去一番の勇気を振り絞っていったであろう。
僕の部屋…今じゃフィリアーと共同部屋だが…に来て、正座をして座り、テーブルにある紅茶を一口飲んでから息を吸った。
それが彼女の一大決心だったのだ。
「…実は私、私っ!腐女子なの…っ!!」
「…はい?えーっとよく分からない…。」
「だ、だから、まあ言っちゃえばっ…!その、男同士でイチャイチャするのを見るのが…好きって言うか…。」
俯いて顔を真っ赤にさせる佐久真を僕は口をあんぐりと数秒あけて見つめていた。
フィリアーは別に驚いた様子もなく、足を組みなおしたりとのんきな行動をとっているが。お前の心臓は鋼でできているのかと聞きたい。
「だから!私、昨日の事なんとも思ってないの!大丈夫だから、ね?むしろありがとうございましたっていう感じだからっ!」
「いや、僕はそんなんじゃなくて、フィリアーがただ迫ってきてるだけで…。」
必死に説明してる僕にフィリアーがやけに落ち着き払った声音で言う。
「光、お前もうこの際だから猫をかぶらなくてもいいんじゃないか?美琴がこれだけ自分の醜態をさらけだしてくれたんだから。」
「おいてめえ、醜態って何気に酷いこと言うな!佐久真が泣き出したりでもしたらどうす…!!」
…あ。僕今、すごく乱暴な言い方して…。
「え、えっ!羽生くんってそんなキャラだったの!?わあ…すごい!私が大好きなパターンだよー。」
どんなパターンかは知らんが佐久真、そんなキラキラした目でこちらを見るな。
するとフィリアーは僕の頭を撫でながら静かな、艶めいた声で言う。
「光は私が存分に可愛がっておるからな…。」
「可愛がってねえよ!虐めてるだろうが!っつーかお前が言うと意味が違く聞こえんだよ…!」
真っ赤になりながら反論する僕に、佐久真は勢い余ってテーブルの角に頭を打ち付けて気絶してしまった。