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BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 神様、それはあまりにも不公平です。 ( No.58 )
- 日時: 2012/05/26 10:37
- 名前: 夜藍 (ID: eVWzcu6j)
第二十一話。
佐久真が目を覚ますころにはもう辺りは暗くなっていた。
女の子一人で帰るのは不用心(しかも美少女)なので僕が送っていく事になった。
街灯の灯りが少し寂しい。ちかちかと光っては虫たちを寄せ集めている。きっと街灯自身はそれを望んでないのに…。
消えてるものもあれば、ちかちか点滅してるものもあり、電灯を交換してもらったのかやけに明るく照らすものもある。
まるで、人間のよう…。
そんなボーっとしている僕を見かねたのか佐久真が「あのっ…」とやや上擦った声で話しかけてきた。
「引かれるの覚悟で言ったんだけど…ごめんね、気持ち悪いよね…。」
僕より少し小さな佐久真が斜め上の僕に視線を向ける。
「いや…僕もまあ、フィリアーにあんな事されて同意の上ってわけじゃないけど…抵抗しなかったし…。」
人のことは言えないよ、と笑って見せた。
まあ正確には“抵抗しなかった”ではなく“抵抗できなかった”だけどな。
「佐久真さん。」
「佐久真で良いよ。あと学校以外は敬語もなし!もう羽生くんの事色々知っちゃったんだし。」
佐久真がビシッと人差し指を僕に向けてキメ顔をしている。
その様子に僕は吹き出してしまった。
「何よー!」
「なんか、面白れぇなって思ってさぁ…。あんなキメ顔…っ…くうっ…!」
「うるさいー!」
声を押し殺して笑う僕の背中をぺちぺちと佐久真が叩く。
「でもさ、羽生くんも私と同じだったんだね。」
「…どういう意味だ?」
「…ううん。なんでもない。」
空に数多の星が輝きだすころ
空の星は回り
人生の歯車も廻りだす。
フィリアーという、異質な歯車を加えて…。
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