BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 神様、それはあまりにも不公平です。 ( No.71 )
- 日時: 2012/06/29 20:03
- 名前: 夜藍 (ID: eVWzcu6j)
- プロフ: 期末テスト…終わった…色んな意味で…
番外編 「夏祭りと私と」 四話。
「話すって、え?何を?」
私は、つい聞いてしまった。
ずいぶん滑稽な顔をしているであろう私を雨月くんは笑わずに見つめる。
「佐久真が、そんな顔をする理由。」
_______________沈黙。
話す?あの出来事を?雨月くんに?
冗談じゃない。心が抉り取られてしまいそう。
いや、ショックなんじゃない。私の居場所がなくなってしまった事に。
私の居場所なんてもとよりないという事に。
「雨月くん。_______________話して何になるの?」
「…何にってんなもん。」
「解るの?気持ちが?私の気持ちが?」
「解んねえよ。」
そりゃあそうだ。わかってたまるか。
私の気持ちがそんなに簡単にわかってたまるか。
ここでもし雨月くんが「解るよ」なんて言っていたらきっとこの場から逃げ出していただろう。
でも、やっぱり雨月くん、あなたは一体何が言いたいの?
「ねえ、じゃあ話す意味はあるの?」
「逆に聞くけど、解らねえからってさ、話さない理由になる?」
「でも、ここで聞いて、それが私を傷つけるんだとしたら?思い出して、話すことが、傷を抉り出すんだとしたら?」
「それでも、言った方が楽だと思う。」
同情してるの?なんであなたまで寂しい顔をするの?
こんなに腹立たしい事はない。
同情なんていらない。
何も解らないくせに。
笑いかけて
解らないくせに…!
だからって、解ってほしいわけでもない。
もしかしたら今の私は世界一の我儘を言ってるのかもね。
そんな私の鼓膜を震わせたのは低く、芯の強い、雨月くんの声。
「思い切り吐き出して、吐き出して、泣いたら?さっきも泣いてたのに、俺が来たら泣くのやめて笑い顔なんて作っちゃってさ。」
「_________気づいてた、の?」
「たまたま見ちまった。我慢して、我慢して、ため込み過ぎて、疲れて、それでも笑顔作るより、たまには思いっきり泣けばいいじゃねえかよ。吐き出せばいいじゃん。」
「…そう、か、な。」
私は知らないうちに我慢してたのかな。
涙が自然に溢れて止まらない。
ぽろぽろぽろぽろ落ちていく。
かといって泣きじゃくるんじゃなく、本当に知らないうちに。
溢れて、溢れて、溢れて。
同情なんかじゃなかった。
私の事を「解って」いたわけでもないけれど、
彼の言葉は、確かに正しかった。
気が付けば、雨月くんに吐き出していた。今日の事を。
本当に不思議な人。
不思議な力を持った人…。
私の話を聞いた雨月くんは立ち上がって空を見上げた。
私もつられて空を見る。
「こんな言葉を知ってるか?」