BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 神様、それはあまりにも不公平です。 ( No.86 )
日時: 2012/08/11 21:13
名前: 夜藍 (ID: Es192lT0)

第二十五話。

フィリアーの右手に握られている百円玉を呆然と見つめてしばらくすると、ぞろぞろと女子の軍団が射的の前に集まって来た。
女子は大半が浴衣で髪の毛を盛りに盛っている。やっぱり夏祭りの女子っておしゃれだよな。勝負の日って感じがする。
…あれ、女子軍団の中に姫川と灰原と叶崎がいる。なのに佐久間がいねえっておかしいな。
ここの軍団は確か佐久間とよく話したり遊んでる奴らだ。すごく仲がいい事で有名。
佐久間をハブ______って事はないだろう。

僕がじっと女子軍団を見つめていると軍団もこちらに気づいたようで、「きゃあ!フィリアーくん!!」と黄色い声を上げた。
五人ほどの女子に囲まれきゃっきゃと話してるフィリアー。えらく楽しそうだ。
あーそうですか。どうせフィリアーですよね。イケメンのが気になりますよねーだ。
ちょっと口を尖らせて内心拗ねてみたりしたがこれはイタい。僕もう高校生ですからね。

数分すると「じゃあまた学校で。」と女子達に言われ、「ああまたな。」と手を振り返すフィリアーの姿が見えた。
といっても彼女達が向かったのはすぐ近くの射的ゲームで。
姫川が肩を組むように促し、皆肩を組んでいる。…何が始まるんだ?

「美琴の為にがんばるよ!!エイエイオー!!」
「「「「エイエイオー!!」」」」

いきなりの集団の大声に周りにいた人が身じろいでいる。
やりすぎだろ、それは。
屋台のおっちゃんに身を乗り出すように灰原が「おっちゃん!はやく!」と急かしている。
おっちゃんは困惑気味。
美琴の為…佐久間の為って何だ?

そこで夏休み前に佐久間が言っていた事を思い出した。

○ ○ ○

「私、今年は夏祭りの翌日に誕生日なんだよね〜。」
「へえ、そうなんですか?」
首を傾げる僕に佐久間はいたずらっぽく笑いかける。
「羽生くんは祝ってくれないの?」
「んじゃ、今言っておきます。オメデトウ。」
「ひど!あからさま棒読みじゃない〜。それに誕生日って前祝いしちゃだめなのよ?」
「そうなんですか?」
「そうよ!私に早く老けてほしいの?」


頬を膨らませる佐久間に思わず僕は吹き出したのを記憶している。
ああ、じゃああれって誕生日プレゼント?
普通買うもんじゃねえのか??
少し疑問を残したまま、フィリアーと二人かき氷の夜店を目指した。