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BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 神様、それはあまりにも不公平です。 ( No.93 )
- 日時: 2012/09/27 09:24
- 名前: 夜藍 (ID: ty0KknfA)
第二十八話。
広場にはたくさんの人だかりができていた。
というのもこれからこの夏祭りのラストを飾る花火が打ち上げられるからだ。
ここからだとよく見えるので皆ここに集まってくる。
かき氷を食べ終わり(ほとんどフィリアーに横取りされてしまったが)カップをごみ箱に捨てるとその場にしゃがみこんだ。
「光、どうしたんだ?」
「花火だよ。今から打ち上げ開始だ。」
そうなのか、とフィリアーが横に座って目を輝かせていると。
一つ、花火が打ちあがった。
それをきっかけに花火はどんどん打ち上げられて行く。
色とりどりの花火。真っ暗な空が一気に明るくなる。
「綺麗だなー。」
僕が言うとフィリアーは目を伏せた。
長い睫毛が影を落としていてやっぱり美人_______なんて思ってねえよ!?一ミリたりとも思ってねえよ!?
僕が一人でそんな事を思っているとも知らず、フィリアーが口を開いた。
「花火は、綺麗とは限らないぞ。」
静かな声で、淡々と紡がれた言葉。
花火の音にかき消されそうになったけれど、僕にはちゃんと聞こえた。
なんでだよ、と僕が言うとフィリアーはまた長い睫毛を伏せて「いや、なんでもない」と膝に顔をうずめた。
まるで子供の様だった。
小さな子供が、隣にいるかの様だった。
顔をうずめたまま、フィリアーは言葉を続ける。
「光、お願い事があるんだ。もし、何があっても______謝るのはよしてくれ。」
「…なんでだよ?」
そう返すと今度こそフィリアーは黙り込んでしまった。
そんなフィリアーに、少し寄りかかってみる。
寄りかかって、何をするわけでもないのに。
なんだか寄りかからなきゃいけない気がした。
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