BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 神様、それはあまりにも不公平です。 ( No.98 )
日時: 2012/11/28 14:40
名前: 夜藍 (ID: ty0KknfA)

第三十話。



………どうしようか。
この状況が全く理解できない。それはもうフィリアーに初めて会った日くらい理解しがたい状況だ。

いやまず突っ込みたいのはこんなに貧弱そうな女の子がいきなり人の家の窓を外して靴のまま家に上がりこみ発した言葉が「お兄様はどこにいらっしゃいますか?」という事だ。

行動の割には別に切羽詰ってる様子もなく淡々とその「お兄様」を探していることを告げるゴスロリ少女。
住居侵入罪を犯してまで探したい「お兄様」って誰だよ!?
っていうかなんでこの家に「お兄様」がいると思ってるんだこの子は。

「もう一度お聞きします。お兄様はどこにいらっしゃいますか?」
「えーっと…あの、君の言っているお兄様って…さあ、誰の事?あと君誰?」
淡々と同じ質問を繰り返すゴスロリ少女に僕は震える声で言葉を返した。
するとゴスロリ少女はああ、と声を漏らし深々とお辞儀した後こう僕に告げる。


「申しおくれました。私の名はメルレッティ。兄、フィリアーを探しにここまで来たのですが…ここの家に住んでいるのではありませんでしたか?」

…はい?フィリアーの、妹?

「あの、君の言っているフィリアーってどんな人?」
僕が聞き返すとゴスロリ少女______メルレッティは顔色一つ変えぬまま口を開いた。

「えー…銀髪碧眼、世間的に容姿端麗かと思われますが性格に難あり。拗ねると本気で面倒で手が付けられずとってもウザい。ぶっちゃけ超が付くほどの変態…いえそれでは足りませんね、超ド変態の露出狂がこちらに住み着いてはおられませんか?」
「うん住んでる。超ド変態のクズ野郎ならここに住み着いてる。」
「本当にございますか?クズの極みの何故この世に存在しているのか聞きたくなるような存在の兄はこちらにお見えしてますか。すみません、きっと迷惑ばかりかけているでしょう…。」

靴を脱いで正座するメルレッティはその場で手をついてまた深々と頭を下げる。
「本当に本当に申し訳ございません。あの兄は昔からああで…」
「いや、頭あげてよ。もう慣れたからさ…」

そう僕が苦笑すると部屋のドアがバタンと勢いよく開いた。
なんだよ騒々しいな、朝からこんなんばっかか!?
振り返りドアの開けられた場所を見つめる。するとそこには今話していたクズ野郎が立っていた。大粒の涙を流しながら。

「お兄ちゃんをそんな風に言うなんて…!メルレッティのバカ!もう知らない!」
お前それ言っていいの子供のうちだけだから。しかもそれジ●リのあれだよな?あれだよな?

するとメルレッティは立ち上がり感情の起伏が全くない声で、
「おにーちゃんのばかぁぁー…」
と緩く泣く真似をした。