BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

【まあや様リク】赤黄 ( No.7 )
日時: 2013/04/05 22:41
名前: マリ ◆pTJVFJNEto (ID: hZy3zJjJ)
プロフ: お互い両思いだけど気持ちは伝えてないみたいな




「…涼太かい?急にすまないね、ちょっと話がしたいんだ」

 黄色の指通りの良い髪とよく似合う銀のピアスが耳に光る。そんな彼の容姿を脳裏に浮かべ、そして消してみる。いつでも彼を思い出そうとすればよぎるのは笑顔ばかり。その笑顔はとても無邪気で、素直な感情そのものに思えた。そしていつでも黄瀬涼太の笑顔は僕に向けられてきた。彼からの歪な“愛”と共に。

 ふと、夢の中での事を思い返す。今日の夢は最悪だった。よく夢は己の欲求不満だと言われているが、それは有り得ないと身を持って実感した。白昼夢の様な霞む視界の先、目に入ったのは黄色の髪と耳元で光る銀のピアス…そいつは既に見馴れた黄瀬涼太の姿だった。しかし一点だけ現実と異なる点があった。僕は欠陥に気付いてしまったのだ。それは『涼太が振り向いてくれない』『笑ってくれない』『気付いてくれない』とすべてマイナスな内容だった。


 僕は怖い。

僕は涼太を愛している。抱き締めるほどに、今すぐ触れたいほどに好きだ。しかしこの世では男と男が想い合い、更には触れあうというのは偏見を買ってしまうだろう。特に涼太はモデルという活動をしていて、そういった同性愛ぼような歪な関係は世に受け入れてもらえない。だから僕は彼をさも嫌っているであろう風貌を装う。これが僕の愛のカタチなのだ。

 一方、涼太は僕に「好き」と簡単に伝え無邪気に付きまとってくる。言ってしまえば、それがあるから未だに僕らは繋がっていられるのだと思う。つまり、涼太が僕に笑わなくなれば、もう終わりの時なのだと悟る。それは分かってる。十分に理解しているはずだ。

 それでも、怖い。



 この愛を終わらせたくない。ずっと想い続けていたい。良いとこばかりスロー再生して、永遠に夢を見ていたい。


 僕はそこで夢から覚めて、まるで決まっていたかのようにおもむろに携帯を開いてアドレス帳を開く。『涼太』を押して、しばらく無垢なコール音を聞き流していた。ずっと祈りながら。いつもと変わらず、僕に「好きだ」と言ってくれますように。どうか、あの笑顔を僕に向けてくれますように。




『……もしもし!赤司っちどうしたんスか。もしかして俺に会えなくて寂しいとかって泣いちゃったり…』


 僕はその声を聞いた瞬間、ほっと胸を撫で下ろして心の中で呟いた。
 
愛してるよ、涼太。 …と。


 そして僕はいつも通り冷酷に「黙れ」と吐き捨てるのだった。

 いつまでも、涼太が僕を求めて欲してくれるように願いながら。