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BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- // 怖くないよ、と君は笑ってくれた ( No.11 )
- 日時: 2013/04/20 23:09
- 名前: マリ ◆pTJVFJNEto (ID: Da2si9iJ)
- プロフ: \(^o^)/紫赤だよ
「君は僕のことが怖くないのかい?周囲はこんなに僕を避けているのに」
僕は、隣の紫原に尋ねてみた。返答がちょっと怖かった。もしも僕にとっての唯一無二である紫原が僕を「怖い」と言ったら、僕はどうなってしまうんだろう。また独りぼっち? それは嫌だ。寂しい。そう思っているのに、僕の口は脅すようなことばかり先走ってしまう。ダメな人間なんだろうな、僕は。紫原は「んー」としばらくうつ向いていた。彼にとっても難題だったようだ。
「俺はね、赤ちんコワイ、でもスキ。って感じー」
「コワイけど、スキ…?」
「うん。赤ちんはねー、優しい匂いがする。温かい匂い。だからスキ」
紫原は僕の肩に顔を埋めた。重い、とも思ったがそれも彼を感じられて愛おしい。紫原は匂いを確かめるように僕の首に鼻先を霞める。コワイけどスキ、というのは良い方向に受け取っていいんだろうか。僕はなぜだか、どうしようもない不安に駆られた。
「うん」
紫原が顔を上げて、僕に向き直る。その可愛い笑顔を僕に向けて、笑って、僕の為に言葉を紡いでくれる。
「やっぱりね。俺、赤ちんがダイスキだよー」
僕はやっと、唯一無二を手に入れた。僕だけの愛しい君。いつまでも傍にいてね、なんてクサイ台詞を言ってみても、今だけは許される気がした。
僕も、紫原がスキだよ。ずっと、ずっとね。
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