BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re:    瓦解するアリスブルー 【BL】 ( No.16 )
日時: 2013/03/31 00:17
名前: り@ ◆N4FULXO5wE (ID: YohzdPX5)
プロフ: 冬華ちゃんちの!(星×空)






(…あっつい………)

目を覚ませば、太陽の位置は既に変わっていた。
熱い。
とにかく熱くて、申し訳程度にかかっていた布団を横に押しやる。
眠る前は寒さに震えていた指先まで、今は完全にオーバーヒートしてて、星は熱くなった息を吐き出した。

(そろそろ熱、上がりきったかなぁ……)

正常じゃない体温が、じっくりと体力を奪っていってるのがよく分かる。

だからもういい加減、解熱剤使ってもいいかな。
混濁した思考じゃそんなここと分かりゃしなかったけど、もう無理。。早々に結論づけてベッドから這い出した。



「………ぁ、」

途端に、ぐにゃり、と視界が歪んだ。
ど、ど、ってなんか迫ってくる。
あー、やばい倒れる。
って思ったのもつかの間。


ごつり、と鈍い音。
いつのまにか50cmくらいずれた視線。
痛い。膝いたい。


まじか。
星はベッドの縁にもたれかかって思案。
ちょっと試してみて諦める。
どーしよっかなぁ。
困ったな。
………立てない、かも。

空、まだうちにいるかなぁ、帰っちゃったかなぁ。
順序だてて考えるには無理があって、だけどどうにかこうにか回らない頭でぐるぐる考えていると、

「星? どしたの?」

聞き慣れた声がかかった。
あ"ー、天使。


だけど「立てない☆」って冗談めかして言ったら、「甘えないのー」って笑われた。「なにそれひどい」
本当なのにな、、ってちょっと寂しくなって。そりゃ語尾に☆とか付けるほうが悪いんだけどね?
空とは長い付き合いだとはいえ、臆面もなく弱みをさらけだすには、男として恥じらいもあるのですよ??

だけど最後には、どーぞ、って肩貸してくれるから、空はやっぱ俺の天使だなーって思う。


「そらぁ……」
「何ー??」
「好き………」

ゆっくりベッドに寝かされて、空の冷たい手が首筋に触れる。
薄い爪が皮膚を徒に引っ掻いていく。

「ほんと、熱高いね……」

うん。悲しいかなそれはよく知ってる。

だけど心配そうな声色が、アンニュイでなんか色っぽいなぁとか、
空も結構俺に傾倒しちゃってるよなぁとか、
都合のいい、のぼせたことばっか考えてると、星、って声がかかった。

「聞いてる? ゼリーと果物、どっちがいい?って」
「へ?」
「だからぁ、」
「あー」

聞いてる、、けどなぁ、無理だろうなって予想はついて。

「ごめん、後でいい?」
「え」
「食ったら吐く……」
「でも薬は?」

これじゃ、しんどいでしょー、ってまた、ぺたぺた首のあたりを触りながら言われて、そうだった、薬取りにいこうと思ってたんだって思い出す。
薬は、、ないと辛いかも。

「水じゃ、駄目?」
「えーでもお腹空っぽでしょう」
「んー、」
「具合悪い時は、栄養、でしょ??」
「………それ、お前にだけは言われたくない」
「それはw 言わないでよ、」

ふふっ、っていつもの笑い声を漏らして、空は楽しそうに笑う。
あわよくば話それちゃったりしないかなぁ、なんて思いながら、もうちょっといじる。

「てか俺がいつもそれ言ってんだけどな」
「……ちゃんと聞いてるじゃんか」
「まぁ十回につき一口なら」
「ごめんってー。。」
「まだあるよ?」
「あー僕また発作起きそうだなーっ」

それだけは止めてください、って言おうとして咳にそれは遮られた。
はぁ、と息を吐く。
なんか喋りっぱなしで疲れた。
それを空は察したのか、ちょっとだけ決まり悪そうな顔をしたあと、とにかく!って立ち上がった。

「じゃあゼリーと薬と飲み物持ってくるからね」

Re:    瓦解するアリスブルー 【BL】 ( No.17 )
日時: 2013/03/30 17:05
名前: り@ ◆N4FULXO5wE (ID: YohzdPX5)







空が一緒に持ってきてくれた氷のお陰で少し気分がよくなって、仕方なく手を付けたゼリーは、半分もなくなってしまった。

よく出来ましたーって、言われ慣れない言葉にちょっとだけときめいて、だけど力尽きてベッドにダイブ。
焦点の合わない瞳で空を見上げるのが新鮮で、たまには風邪引くのもいいよなって思う。
だけど、たまに、に限るよな。


「………もしさ、俺が体調悪い時に空が発作起きちゃったら、怖いよね、」
「んー?ああ、そーねぇ。でも僕は、怖いけどさぁ、」

さっき、ちょっと思った、それ。
考えてると、どんどん、怖くなっていった。

「別に星はそんなことは、なくない?」
「ばか、見てるほうも怖いんだよ、あれ」

何回見ても、空が死んじゃうんじゃないかって思う。それを、助けたいのに、動けないのは、怖い。

「こんなじゃ、恋人のこと守る、とか出来ないよね」

そう言うと、空ははにかむみたいに笑った。

「そんなふうに星に思ってもらえるだけで、幸せ、」

「空のこと好きだからね……」
「さっきも聞いたよ、それ」

何度だって言いたいんだよ、ばか。
だけどそれが空の照れ隠しだと知ってて、そんなでも星は満たされてしまう。

だから、愛しい人を、守りたいなぁ、って、思うんだよ。


「でもまぁ、『あくせくしたって始まりませんぜ』」
「なんのセリフそれ」
「りらっくまーw」

まさかそんなファンシーめいた答えが返ってくるとは思わなくて、笑ってやる。
だけど、きっとこれ励まされてるんだろうな、ってことは分かってて、なんか、面白い気分で。
心身相関、とか言うわけだし、たまには、たまには、いいかなって、甘えてみちゃったり。
空は、案外、甘やかすの上手いんだ。
まぁ、甘やかさせるのはもっと上手いけど。

うん、この分は、いつか、お返ししよう。


「あくせく、ねぇ」
「うんー。。焦っても仕方ない的な? だって、道を辿ればいずれ着くんだし?」
「ゴールってどこなの」
「さぁー??」
「適当だなw」
「まぁ、りらっくまだからねー」
「だけどすっごい、亀で進んでるよね、俺ら」

ちゃんと着くのかなぁ?って見上げる。いい目線だ。
それに空は、んー、って首をひねったあと、

「あ!『急ぎすぎると、みのがしちゃうものもありますよ』」
「……それもりらっくま?」
「うん(笑」
「お前はりらっくま信者か……」

じとり、と空を見てると、ぐちゃって焦点がずれて、慌てて目を閉じた。気持ち悪い。
あ、薬飲まなきゃ。

「だけどこんなふうに、してて、ゴールしなかったら、どうしようね」

そこまで言って、やりすぎたかなって思った。さっきから、提案を却下してばっか。。
空がうつむいちゃったのが分かる。ごめんって。
これで空が発作起こしちゃったりしたら、本末転倒だな。
流石にこんなことが発端になったりはしないけれど。


だけど、ふと空は顔をあげた。

「星? あのさ、ゴールなんて、しなきゃいけないのかな?」

「え」

「だって、歩いてるだけで、楽しいし。こんな、どっちも調子悪くなっちゃったらどうしよう、みたいな気持ちとか、ゆっくり歩いてなきゃ、見つけられないでしょ?

だからね、僕は、星と歩けること、すごい、素敵だって、思うよ?」

「、」

「……だから、、星のこと、大好きだよって!!」



なんだか最後のだけ、頭にすっと入ってきて、それの印象だけ、残る。ああ、そゆこと。



「それじゃ、駄目?」

いや、、駄目じゃない。とっても、とっても、いいです。

あー、絶対熱上がってるなぁ、ってぼんやり、思った。

だけど今度こそ、否定は、出来なかった。


「空……」
「ちゅー、して良い?」
「え、伝染るよ」
「星のなら、本望ですよーw」

有無を言わさず、触れたのは唇。

なんかもういろんな意味で熱すぎて、怒る気も起きない。
それで空の好きにさせてると、あ、と空が声を漏らして、離れるのが、薄く瞼をひらくと、見えた。
カシャリ、と独特の音をしてそれは。

「解熱剤……」
「ごめ、忘れてた」
「本当、しんどいんだからね……?」
「ごめんって」
「、そら」

そう呼んで、口を開けて見せる。
とりあえず、もう動く気力はない。
……それは、半分で、半分は、キスしたかっただけだけど。

だけど空は喜んでくれたみたいで、いいの?って目を輝かせる。

「それで喜ぶの、おかしいでしょ」
「星とちゅーできるなら、何だっていいのー」
「………馬、鹿、」

うんー、って、んんー、みたいなくぐもった声が返ってきて、ゆっくりと、口づけられる。
触れる濡れた唇。
浸入してくるぬるい液体。
少し苦いそれがかつん、と歯に当たって、喉の奥へと消えると、空は最後に口蓋を舐めていった。

そんなことしたら伝染るのに、とか、
もう既に伝染ってるかな、とか。
今更なこと、今更思いだして、まぁ、看病すればいいよね、って都合のいい解釈して、彼を抱きよせた。

「ありがとう、ね」
「うんー、」

「………俺も、空と歩けるの、幸せだよ」

ミルクティー色の髪を撫でながらそう愛を囁けば、腕の中のは固まって、身じろぎしたあと、ふいと、離れていってしまった。

だけど、対して変わってはいない距離で、もう寝なさい、ってとんとんってされてるうちに、
まだ言いたいことあったのになぁ。惚れ直しちゃった、とか、空からそんなふうにストレートに言われちゃうとときめいちゃうなぁ、とか、

だけど幸せで、薄ぼんやり、し始めた意識に、逆らう術もなく、呑みこまれていった。





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なんか、風邪ネタって、久しぶりに書いたかも……!好きなのに。
具合悪いのはしょっちゅう書いてるんだけどな。
ん、と、設定は、冬華ちゃんの小説の、間、とかでもいいし別のときでもいいかなってただ両方身体弱いっていいなって思っただけですすみません!
あと空くんの口調が難しくて!
キャラ崩壊した気がwww
りらっくまのとこは、もらってきてます。

ところで安定の文字数制限。
いい加減短い文を書きたい。。