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BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 片耳ピアスの陶酔 ( No.78 )
- 日時: 2013/08/24 01:29
- 名前: りー ◆N4FULXO5wE (ID: Slxlk2Pz)
真暗い闇。ゆるゆると意識が覚醒して、足元でぐしゅと鼻をすする音に気付く。私の姉が自殺して、悪夢にうなされるようになったのは彼のほうだった。しゃくりあげるような、不規則な呼吸が痛々しい。
「…………また、泣いてるの」
私は問いかけて、慰めるために起き上がった。くらりとする。
とはいえ彼は姉のことを愛していたから、それももっともなことだった。
触れれば、頬も背中も手のひらも汗でびっしょり。それでも構わずに抱きしめれば体はすっかり冷え切っていた。
(馬鹿、)
強張った彼の腕を自分の背中に回して、大丈夫、大丈夫よ、って姉の口調の真似をする。そのとき一瞬彼が息を飲んだかと思うと、ぎゅうと抱きしめられた。ぎゅうぎゅうと、強く、まるで確かめるみたいに、存在を確認するみたいに。
「絢音、」とうわごとのように繰り返される名前に、うん、と答える。
「………本当よ」
そっと囁いた言葉の、こんな夜だけの口調は、ひどく口に馴染まなかった。
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えぬえるですん。別のサイト用。
明日はいろいろやろう!
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