BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re:    片耳ピアスの陶酔 * ( No.87 )
日時: 2013/11/25 15:40
名前: りー ◆N4FULXO5wE (ID: HPUPQ/yK)

榎本先生が、卒業式の日に告白されたというのは、仲のいい生物の日比先生に聞いて知った。びっくりやおね、と笑う彼は、真琴がこの学校を卒業してから入った先生。かつ何の巡り合わせか、榎本先生とは幼馴染らしい。

もちろん念を押されなくてもびっくりだ。
三秒間口が空いたままだった。
うそやん、と理科準備室のソファから身を乗り出したらソファが倒れそうになっておわわと慌てた。




* 榎本先生と真琴は、ひみつのカップル。

先生と、生徒(卒業しちゃったけど)
29歳と、19歳。
おとこと、おとこ。

目の前の彼も知らない。
友達も、親も、知らない。

ふたりは、秘密のカップル。*




「で、どうなったんですか。榎本先生、なんて??」
「んー? や、なんか優、恋人おるーってゆっとったし、断ったやろ」
「えっ想像ですか!」
「えっ俺も人づてに聞ぃただけやし!」

別にそんな興味ないわぁって頬を膨らます日比先生に興味もってくださいよー、とわめくと、お前ほんと優のこと好きやなぁ、と笑われた。


だって。
榎本先生はきっと浮気なんてできないし。それくらいにはらぶらぶだと思うし。いちおう性別的に恋愛対象外かなって感じだし。そもそも卒業式に告白ってことはその女の子が返事を求めてるとは限らないし。
……なんにせよ断らないことはないだろうと思うけれど。

でも、やっぱ、こっちは割と関係者なので。気にならないわけないです。

どーするもこーするも、こう、愛情確認というか。。性格悪いなぁとは、思うけれど。
そこには彼が絶対断ってくれるって絶対的な自信があって、

(すこしだけ、今日は嫌なことがあったので)

彼の愛を感じたい気持ちだけが、馬鹿みたいに募っていた。






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久々の更新。
超長編になる気がします。。
日比先生のエセ関西弁みたいなのは、うちの方言なニュアンスです。
関西弁分からないことに気がついた結果←

Re:    片耳ピアスの陶酔 * ( No.88 )
日時: 2013/11/23 20:05
名前: りー ◆N4FULXO5wE (ID: HPUPQ/yK)



「てか、もうそろそろ優も帰ってくるやろし、帰るわ」

円つけ赤ペンのふたをカチッと鳴らして、日々先生はだるそうに言う。
なんとなくひとりになるのはさみしい気分だったから、待っていないんですかと尋ねたが、ソファからは日々先生の机はそれなりの距離があったので、普段真琴が榎本先生にするように、その服の裾をつかむことはできなかった。
彼はグレーのスーツをぱたぱたと払い、机の上に置いてあった結婚指輪をはめなおす。

「んー、帰るわ。……今日うちの娘ん誕生日やで、早う帰ったらんと、」
「あれ、先生お子さんいらっしゃったんです」
「、ゆっとらんかったっけ?」

一瞬きょとんとしたが、途端に彼は幸せそうな笑顔になり、おもむろに財布から小さな写真を取り出した。
顔の前に差し出されたそれを真琴が受け取ると、写っているのは、優しそうな若い女の人とにぱーっと笑った小さな女の子。

「ゆずか。今日で二歳。でぇーら可愛いやろ!!」

目の前の男の顔をみると、まるきり同じ、にぱーっと嬉しそうな笑顔がそこにあった。

「めっちゃそっくりなんですけど」
「えっうそ嬉しい!!」

親ばか、、
生暖かい視線を送ってやるが、日々先生はそれには気づかないふりをして、おんぷが飛んでいそうな上機嫌でかばんに荷物を片付け始めた。



ーーーときどき、にへらと口の端がゆるむのが、気味が悪い。
などと考えて、真琴も笑った。