BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 瓦解するアリスブルー 【BL】 ( No.9 )
- 日時: 2013/03/30 10:28
- 名前: り@ ◆N4FULXO5wE (ID: YohzdPX5)
(佐野×ゆーき)
こぷり。
こぽこぽこぽ。
風呂桶に空気をいれて、それを風呂に沈める。少しずつ空気を出す。その音が面白いので、最後まで終わると、ついもう一回最初から。
こんなの子どもの頃以来。
懐かしいなぁ、なんて思うのも忘れるほどに、昔の話だ。
ぼーっとしながら湯船の中でそれを繰り返していると、
のぼせるよ、と声がかかった。
「顔赤いし、」
湯船のふちに座っていた佐野が手をのばして、程よく熱さを放出し終えた指先をゆーきの頬に触れた。
それが思いのほか冷たく感じられて、少しだけ驚いたゆーきは仕方なく湯船から上がる。
手持ち無沙汰のその代わりに。
「ね、脚を貸して?」
はてなを浮かばせる佐野をおいて、ゆーきがちょっとまってて、風呂場から一歩出た先、洗面所から持ってきたのは、ぴんくの剃刀。
それを片手に、ボディウォッシュをもう片手に装備して、ふにゃ、と幸せそうに笑ったゆーきは、佐野の足元へと腰を下ろす。
「えー、毛って、男の勲章じゃないのー??」
「……だめ?」
「だめ、じゃないけど」
つい佐野は言葉に詰まった。
ふふ、とゆーきがしてやったりな笑みを漏らす。
まるで計算高い女子大生だ。
佐野の逆らえないことを知っているのだ。
もー、勝手にして下さい。。
毒されたように佐野の瞳までとろり、柔らかに甘く溶けた。
佐野の脚があわあわになって、ヴィクトリアシークレット・ベリーキスだっけか、ゆーきがお姉ちゃんからもらってきたとかいうボディウォッシュの、名前の通りの甘ったるい匂いが立ち込める。
くるくる、ゆーきの手のひらが佐野の肌を丁寧に撫であげていく。
膝の裏、ふっくらとした腓腹筋から内側を回って膝蓋骨へ。
そこから、ゆーきの指先はゆっくりと脛骨をくるぶしまで辿る。
少しだけ伸びたつめがつぅ、と白い一筋の痕を刻んだ。
「こしょばゆくないのー??」
「べつに、くすぐったくは」
佐野は、出来るだけその幸せを喫した。
苺も、ロリポップも、蜂蜜も、二人で過ごす時間にはとても及ばない。
くすぐったくはないけれど、なんか、あぁ、もうだめ。
愛しさに任せて、甘美で、貪婪な、愛の言葉を吐いた。