BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re:    シュレーディンガーの猫 ( No.94 )
日時: 2014/01/19 01:39
名前: りー ◆N4FULXO5wE (ID: IWueDQqG)

慣れないダブルベッド。
何を意図したセッティングかは分からないわけではなかったが、お互い言い出すこともなく、そのまま就寝した。誰に見られているわけでもなし、自分たちのやり方で良かろう。愛情は崩れ落ちそうなほど積み上げたし、必要なのはそれよりも休息だ。そばにいられるだけでよいのだから。ーーーなんて、我ながら健全。




真琴は、隣の気配と布団にひゅうと入ってきた冷気に瞼を揺らした。薄く目を開ければいつのまにか彼はとなりにいなくて、あれ、と思う。どこ行ったの。部屋はぼんやりと薄暗いが、手をのばすとまだとなりは暖かかったので、彼がベッドを抜け出してまだそう経っていないことが分かる。
ーーーやっぱりか。真琴は思った。いないことに驚いたというよりは、その気持ちのほうが強い。慣れもある。真琴がホテルの部屋に備え付けの洗面所のほうに目をやると、その閉められた扉の隙間からは明かりが零れていた。

真琴はすっかり目が覚めてしまって、しかしじっと布団の前をあわせた。別に聞こうとか思ってるわけじゃないんだけど、高級ホテルというわけでもないので、三メートル先の洗面所ーーー浴槽洗面台トイレ、の水音は聞こえてくるものだった。
想像通りというかなんというか、聞こえていた乾いた咳がだんだん湿り気を帯びて、それが時々止まる。流石にえづく音までは聞こえないけれど、なんとなく分かる程度には場数というものを踏んでいた。

(ーーーあ、吐いた)

水面に落ちる、質量をもったものの音がした。それと、咳。苦しそうなその音たちに、どうしようかな、と真琴は身じろぐ。
いつも、割と悩むのだ。介抱するか、放っておくか。あまり苦しそうだったら見て見ぬふりはできないが、それでも決まって彼は申し訳なさそうな顔をするから、放っておいたほうがよいのかもしれないとも思う。真琴はいつも上手く決められない。今日だって、もしここでベッドを出ていけば、彼は起こしてごめんねって言うのだろう。そんなことさえ、彼を傷つけそうで怖い。気にしすぎなのは真琴のほうだろうか。
げほ、ともう一度咳が聞こえた。今しがた嘔吐し、収まったかとも思ったが、たいした量ではなかった。続いていた咳が、一瞬止まる。
真琴は、ああ、と思った。今更ですか、そうですか。

「今更」
諦め半分に口にする。
この夜中に彼の気配に気付いてしまったのだから見ぬふりなど今更できないのだし、繰り返されるこの習慣についても今更だ。いまさら迷うことなんて、ないだろ。

裸足でフローリングに降りると、足が冷えた。はやく、布団に入ろう、と思う。
でも、それは彼と一緒がいい。






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まこちゃんと榎本先生。
榎本先生は、慢性胃炎持ちで、ストレスかかると吐いちゃう。榎本先生大好きで心配で仕方ないまこちゃん。ふたりとも好きだよ愛してる。
自分は小説かくの遅いって思ってたけど、じわじわ考えたら一時間半でここまでかけた!!←
あともう一回くらい続くよ!
長編どーしよっかなー☆〜(ゝ。∂)