BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: BL,GL,NI,その他の短編集、マギあります ( No.12 )
- 日時: 2013/05/27 00:44
- 名前: 千早 (ID: iuj9z/RI)
PS:この小説は今年の一月に亡くなったお婆ちゃんにささげます
「この子はまた魔女の本を読んでいるのね」
「だってすごいんだよ、魔女はみんなの願いを叶えてくれるんだよ
いつか魔女に出会って願いを叶えてもらうんだ」
「会えるといいね」
「うん」
それは無邪気な子供の願いだった
〜ささやかな願い〜
「どうしよう、見つからない、やっぱり噂だったのかな」
あたしはかれこれ二時間くらい森の中をさまよっていた
「でもどうしても会わないといけないのに」
そう私はあきらめるわけにはいけないのよ
それに時間が無いし
「カ〜〜カ〜〜」
「大変、羽をカラスが怪我している!?!」
鞄から小さい携帯の救急箱をだしてカラスを抱きかかえると
ペットボトルの水で傷口を洗い流すと馬の油を傷口に塗り包帯を羽に巻き
「ごめんね、応急処置しかできなくて
ほっとくわけにはいかないし連れて行った方がいいよね」
カラスを抱き上げると周りを見渡すとふと前方に古い家があるのに気が付き
「あれ?さっきまでこんな家はなかったはずなのに」
家に近づきドアをノックするとドアがゆっくりと開き
「おじゃまします」
家の中に入ると椅子に頭から黒のロープをかぶった黒のワンピース着た
9歳くらいの小さな女の子が座っていた
「本当は会うつもりはなかったんだけれども
キー君を治療してくれたお礼に会ってあげることにしたんだよ」
「キー君ってこの子のこと?よかったね、飼い主さんに会えて」
キー君を女の子に渡し
「でアリスにどういう要件なの?」
「あの、失礼ですが魔女でしょうか?」
「うん、アリスは魔女だよ」
「でしたらお願いします、助けてください
お婆ちゃんがすい臓がんで半年の命と言われたんです
お婆ちゃんは年で手術もできなくてガンの薬も使えない状況で
もう魔法しか頼ることしかできなくて」
泣きそうで俯いているとアリスはすまなそうに
「ごめんね
魔法は万能ではないんだよ
魔法で怪我や病気を治したり、命を蘇らしたり、人の心を操る事はタブーとされていて
必ずなんだかの災いがふりかかりしかも魔法も上手くいくことはめったにないんだよ
それに死ぬ病気の場合は寿命がかかわっているから
病気が治ってても死ぬ時期はのばせないんだよ」
「そんな、それじゃあ、ここにきたのは無駄だったの?
せめて歩きまわせるようにしてあげたかったのに・・・」
「それだったらかなえてあげられないことはないよ」
「本当ですか!?!お願いします
それだけでいいですから動き回れるようにしてください!」
「そのかわりにお姉ちゃんが犠牲にならなければいけないけれどもそれでもその覚悟はあるの?」
「あります!」
「わかったよ、お姉ちゃんがそこまでいうのであればその魔法を使ってあげるね
でもこの魔法は肢体不自由と体力を肩代わりする魔法だから
お姉ちゃんがそのお婆ちゃんと同じ症状になるけれども覚悟できている?」
「それくらいでよろしかったら喜んで肩代わりします」
「それでは願いを叶える代償をお姉ちゃんからいただくけれどもいいよね?」
「はい、覚悟はできています」
「では遠慮なくもらうね」
アリスが私の顔を触るとアリスの手が十秒くらい輝くと手を離し
「うん、これで終わりっと」
「あの、代償はなんでしょうか?」
「それは後でわかるよ
では今からそのお婆ちゃんの所に行こうよ
お婆ちゃんは一緒に住んでいるんだよね」
アリスは六芒星のペンダントをポケットから出すと私の両手でそれを握らせるとアリスも私の両手から上から握り締める
「ではお姉ちゃん、目を瞑ってお姉ちゃんの家の前の場所を思い浮かべて
アリスがいいってて言うまで目を瞑っててね」
「はい」
私は目を瞑ると家の前を思い浮かべると一瞬変な感じがするけれどもそれはすぐにおさまり
「いいよ、もう眼を開けて」
「えっ、ここって?私の家の前?」
呆然といつのまにかついた私の家を見つめ
「ではそのお婆ちゃんの所に案内して」
「はい」
私の家のドアを開けると中に入り靴がお婆ちゃんのしかないのに気が付き
「良かった、家にはお婆ちゃんしかいないんだ」
そのままお婆ちゃんがいるはずの和室に向かい
「お婆ちゃん、ただいま」
「おかえり」
私の手を掴むとお婆ちゃんは自分の両手で撫でて
「冷たい、可哀そうに、寒かったでしょうね
でそちらの方は誰なの?」
「こちらの方は病院の先生です」
「そうなんだよ、アリスはお医者なんだよ
お婆ちゃんの体を動きやすくしてあげるね」
「う、うん、そうなんだよ、今より動けるようになるから安心して」
「もう、この子は優しんだから、不自由の体なんか気にしてないのに」
「でもすぐすむから一度でいいから先生の治療をうけて
せっかく先生もきてくれたんだから」
「そうね、せっかくきてくれたものね、なら治療を受けてみるとするよ」
「ありがとう、お婆ちゃん、じゃあ、先生、お願いします」
「うん、アリスにど〜〜んとまかせてね
それじゃあ、この毛布の上で横になって目を瞑って、お婆ちゃん」
魔法陣が二つ書かれた大人が二人寝そべられる大きな毛布を床に引いて
「これで大丈夫?」
「うん、それでいいよ、お姉ちゃんも」
「は、はい」
「それじゃあ、始めるよ、体が少し暖かくなると思うけれども絶対に動かないでね」
「ん…」
体が熱い、息も少しつらくて体もおもくそれに体全体が痛くてなって
これがアリスちゃんの言っていたお婆ちゃんの肩代わりするってことなんだね
でもこれくらいお婆ちゃんのことを思えばどうってことないと思えた
そうこうして二十分後、体の熱さがおさまった時に
「お疲れ様、眼を開けていいよ」
終わったんだ、お婆ちゃんの体はどうなんだのかな?
私は心配で動きにくい体をどうにかおきあがらすとお婆ちゃんの方を向き
「お婆ちゃん、体の調子はどう?」
お婆ちゃんは立ち上がって少し歩いてみせた
「いいよ、先生に診てもらう前から比べると見違えるようだよ
これだったらどこにでも出かけられるよ」
「良かったね、お婆ちゃん、これで鹿児島にもいけるね」
「これも先生達のおかげね
でもこの子は遠いところまで先生を迎えにいって本当に優しんだから」
お婆ちゃんは私を優しく抱きしめてくれた
「それじゃあ、お婆ちゃん、アリスは帰るね
体の調子が悪くなったらアリスはまたくるから」
「アリスちゃん、玄関まで送ります」
「いいよ、そんなの、それに今のお姉ちゃんに無理をさせられないしね
じゃあ、またね、お姉ちゃん、それにお婆ちゃんも」
にっこり笑いかけるとそのままかけるように部屋を出て行った
それからしばらくして出かけていたお母さんとお父さんが帰ってきた
お婆ちゃんが普通の人と同じように歩き回れるのになっていたのを
少し驚いていたけれどもすぐに喜んでくれてそれからまもなくしてから
お婆ちゃんと親族の鹿児島での食事会が決まりあれというまにでかけていった
私はというとこの体のことを知られなくて鹿児島にはついていかなかった
帰ってきたお婆ちゃんの話を聞いていると凄く楽しかったらしくて
お婆ちゃんはすごく喜んでいた
体はつらかったけれどもルミナリエにもお婆ちゃんと私と家族みんなで歩いて
この幸せが続けばいいなと考えられずにはいられなかった
それから一月の終わりころに朝起きたら私の体の少し不調がおさまっていた
それが少し不思議に思えたけれどもどうしてもはずせない用事があったために
家を後にした、それからしばらくしてから家から電話があってお婆ちゃんが
亡くなったのを聞かされた、すごく悲しくて泣きたくてうずくまったけれども
涙が流れなかった、これがアリスちゃんの言っていた代償だと気が付いて
お婆ちゃんが亡くなった事が悲しくてでも泣けないことが凄くつらくて
気がどうにかなりそうで、それから葬式の時ももっとつらくて
それからしばらくして叔母さんの家族と私の家族と集まって食事会を開かれました
葬式でお婆ちゃんのために泣いてあげられなかった私は申し訳なくて
でも実は叔母さん達がそんな私に気遣ってくれて開いてくれたのだと知り
しかもお婆ちゃんがお母さんに私のことは本当に優しい子だって
自分のために魔女と取引までしてこんなにも体が動けられるようにしてくれて
自分入れ替えに体が不自由になるのを恐れないで、すごく感謝しているって
ありがとうって言っていたんだとしり
胸が熱くなりお婆ちゃんの言葉と親族の心使いが嬉しくて嬉し泣きをした
そしてアリスちゃんの優しい心使いに気が付いた
あなたはこんなにも皆に愛されているんだよっその涙は悲しい時ではなくて嬉しい時に
涙を流すんだよって言っているようだった
〜終わり〜