BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 作品集8月22日マリア様がみてるを投稿 ( No.170 )
日時: 2019/09/26 12:31
名前: 千早 (ID: FzVK5xRK)


「すいません、演奏を盗み聞くような事をしてしまいまして……
とても素敵な演奏でしたね。
先輩は、ユーフォーニアムが好きなのですか?」

後輩らしい女の子は、軽く頭を下げて勝手に演奏を聴いた事を謝った。
女の子は、私の本心を確かめるように私の目をじっと見つめた。

「うん、ユーフォーニアムは、好きだよ。
もしかしたら入部希望者なの?
もしそうならば大歓迎だよ!」

私は、小さく頷いてユーフォーニアムが好きな事を即答した。
そして女の子の両手を握り締めて入部希望者なのか質問をした。
そして入部希望者ならば低音パートにほしいと邪な考えをしていた。

「いえ、まだ吹奏楽部に入部するか決めていません。
でも先輩は、面白い方ですよね」

女の子は、軽く首を横に振り吹奏楽部に入部するか決めていない事を伝えた。
そして私の態度が面白かったのか口元を軽く押さえてクスクスと笑って私が面白い人だと伝えた。

「えっ、そうかな……?
でもユーフォーニアムに興味があるのならば部活を見学をしていきなよ」

私は、女の子に面白い人宣言をされると戸惑いながらキョトンと首を傾げた
それから新入生をこのまま逃がしたら駄目だと思い部活の見学を誘った。

「いえ、この後用事がありますから部活の見学は、遠慮しておきます。
それでは、この後、用事がありますから失礼します」

女の子は、私の部活の見学の誘いを即答でこの後は、用事があるから遠慮する事を伝えた。
それから軽く頭を下げてお別れの挨拶をすると去って行った。

「うん、またね。
あっしまった!?
相手の名前を聞くのを忘れていたよ……」

私は右手を軽く振り女の子を見送った。
そして女の子の名前を聞いてなかった事を思い出した。
そして女の子を吹奏楽部に入る説得をするのが無理だと解り足の膝に両手をついて落ち込んだ。

それからあっという間に新しい1年生が部活に入部してくる日が来た。
入部する1年生の中にこの前会った女の子がいるのに気がついて女の子に話し掛けた。 

「もしかしたらこの前出会った女の子だよね。
また会えて良かったよ。
結局吹奏楽部にしたんだね」

私は、女の子に近づいてまた出会えた事を喜んだ。

「はい、吹奏楽部に入部するかどうか悩みましたが結局入部する事にしました。
1年生の久石 奏と言います。
ユーフォーニアムを小学生の時から吹いていました。
よろしくお願いします……」

奏ちゃんは、私に気がついてじっと見つめて吹奏楽部に入部する事を伝えた。
私と奏ちゃんは、低音パートで集まっている場所に戻った。
そして楽器が低音パートの人達を見渡してから軽く頭を下げて挨拶をした。
私は、後輩ができたのが嬉しくてある問題で悩む事になることに気がついていなかった。
1年生が初めて参加する部活で1年生の実力を知る為に1年生全員の演奏を聴くことにした。
そしたら奏ちゃんの演奏が私よりも上の演奏をしているみたいに感じた。
私は、あまりの演奏の上手さに呆然と奏ちゃんを見つめた。

「久美子先輩、どうかしましたか?」

奏ちゃんは、私の驚いた眼差しを見て不思議そうにキョトンとしてどうかしたのか質問をした。

「うんん、何でもないよ。
ただ奏ちゃんの演奏が上手だなって思っただけだよ」

私は、慌てて首を軽く横に振り何でもないことを伝えた。
本当は、何でもないわけなかった。
奏ちゃんの演奏が私よりも上手く感じて私の演奏に危機感を感じた。
このままでは、駄目だと思い麗奈や緑達と遊ぶのを断って練習に打ち込んだ。
でも練習を打ち込めば打ち込むほど演奏が空回りしているみたいで練習の成果が出なかった。
そんな日々が一ヶ月続いた時にいつものように校舎裏で練習をしていると麗奈が私に会いに来てくれた。

「久美子、ちょっと良い……?
最近、何か悩み事をしているみたいだけれども……どうかしたの?」

麗奈は、私の前に立って最近、私の様子が変な事を指摘した。

「うんん、何でもないよ、麗奈。
私、練習に忙しいからもう良いかな……」

私は、演奏が上手くならない気持ちを麗奈に八つ当たりだと解っていてもきつい言葉を麗奈に伝えた。
そして麗奈にきつく当たったのを誤魔化すように麗奈から視線をそらした。

「久美子、少しだけこっちを見て……」

麗奈は、私の肩を触り神経な表情で私を見つめた。

「何よ、麗奈……んっ!?」

私は、自分の演奏の練習を邪魔をされたのが気分が悪いまま麗奈の方を向いた。
私が麗奈の方に振り向いた瞬間に麗奈は、私の口にキスをした。

「な、な、な、いきなり何をするのよ!?」

私は、いきなり口に麗奈からキスをされるのが驚いて大声を出した。

「久美子、どう気分が落ち着いた……?」

麗奈は、私にキスをした事がさも当たり前なように冷静な顔でたんたんと落ち着いたのか質問をした。

「落ち着けるわけないでしよう!
さっきとは、逆に胸がドキドキしていて落ち着かないよ!」

私は、顔を真っ赤にして麗奈に逆に落ち着かないって不満を述べた。

「でもさっきよりも余裕ができたはずよ……
悩み事は、新しく入部した1年生の演奏の事よね」

麗奈は、私の考えが解っているようにじっと私の目を見つめて私の考えている自分の演奏が新しく入部した1年生に負けていると思った事だと言い当てた。

「麗奈に隠し事ができないよね……
うん、そうだよ。
新しく入ってきた奏ちゃんの演奏が上手すぎてね。
私の演奏と比べると負けているのではないかと思い焦ってね。
焦れば焦るほど演奏が上手く吹けなくなってきてね……
もうジレンマだよ……」

私は、辛そうに俯いて麗奈に自分の抱えている悩み事を打ち明けた。

「ねえ、久美子、久しぶりに一緒に演奏をしてみない?
そうね……曲は、あすか先輩からもらった楽譜の響けユーフォーニアムで良い?」

麗奈は、楽器のケースからトランペットを出すと私と一緒に演奏をする事を提案した。

「麗奈と一緒に演奏……?
別に良いけれども今の私の演奏が麗奈についていけるかわからないよ」

私は、ユーフォーニアムを構えて自分の演奏が下手になっているから麗奈の演奏についていけないことを先に述べた。

「それは、構わないわよ。
下手とか気にしないで良いわよ。
久美子は、何も考えないで演奏をして……
私が久美子の演奏に合わせるから……」

麗奈は、トランペットを構えて私の演奏に合わせるから私は、好きなように演奏をする事を伝えた。

「う、うん、解ったよ、麗奈……」

私は、小さく頷いて麗奈の言葉にしたがうことを伝えるとユーフォーニアムのマウスピースに口をつけた。
麗奈も私の行動に合わせるようにトランペットのマウスピースに口をつけた。
それから私と麗奈は、自然と一緒に演奏を始めた。
最初は、自分の演奏が不満だった。
でも麗奈の演奏に引っ張られるように私も良い演奏ができていた。
気がつくと前の演奏を比べると月とすっぽんなくらい最高の演奏ができた。
私が良い演奏をするとそれに答えるように麗奈がもっと良い演奏をした。
私は、麗奈にこんな演奏をさせた事が嬉しくて快感に感じて鳥肌がたった。
私と麗奈は、演奏が終わると楽器から口を離した。

「嘘みたい……さっきまで全然上手く演奏ができなかったのに……」

私は、自分の演奏が自分の演奏では、ないくらい上手に演奏ができて戸惑ったように呆然とした。

「何を驚いているの……?
久美子ならばこれくらいの演奏ができて当然よ。
久美子は、焦って自分の演奏ができなかっただけよ。
どうせ久美子の事だからもっと完璧にもっと上手にって自分を追い詰めすぎたのでしょう。
そこが久美子の良いところでもあり悪いところでもあるのよ……」

麗奈は、私が自分の演奏が上手に演奏できて驚いたのをみて何もおかしくないようにキョトンとして私ならばこれくらい演奏できて当たり前な事を伝えた。
 
「うっ……麗奈は、何でもお見通しなんだね。
は〜〜……なんだか細かい事に悩んでいたのが馬鹿みたいだよ。
でもだからって言っていきなりキスをするのは、どうかと思うよ。
麗奈が常識外れな考えなのは、解っていたけれどもね……」

私は、麗奈に的確な指摘をされると麗奈にやっぱりかなわないなって思った。
そして自分の考えていたことが馬鹿らしくなり深くため息を吐いた。
私は、すぐに麗奈をじと〜〜と見つめていきなりキスをするのが常識外れだと指摘をした。

「むっ、それは、失礼よ。
誰にもキスをするキス魔みたいに言わないでくれない……?
言っておくけれどもさっきのキスが私のファーストキスよ。
久美子が好きだから特別にキスをしたのよ……」

麗奈は、私の反論を聞いてほんのり顔赤らめてさっきが麗奈のファーストキスだと伝えた。
そして麗奈は、私の事が好きだと告白をした。

「えっ、そうだったの?
その……ありがとう、麗奈の気持ちは、凄く嬉しいよ……
私も麗奈の事が好きだったから……」

私は、麗奈に告白をされるとかあ〜〜って顔が赤くなった。
そして照れくさそうに微笑んで私も麗奈の事が好きだと告白をした。

「ありがとう、久美子……
これで私達は、恋人同士だと思っても良いのよね」

麗奈は、親愛を込めて私を見つめ薄く微笑んで私達が恋人同士だと言うことを確認をした。

「う、うん、もちろん私達は、こ、恋人同士だよ……
でも麗奈は、滝先生の事が好きだと思っていたよ」

私は、あらためて私と麗奈が恋人同士だと言うのが恥ずかしくて顔を赤らめた。
そして私と麗奈が恋人同士だと宣言をした。
ふと麗奈が滝先生の事が好きだと言うことを思い出して麗奈に滝先生の事が好きでないのか質問をした。

「滝先生の事は、好きよ。
でもそれは、音楽の指導者としての滝先生を尊敬しているだけよ。
前から何回も言っていたはずよ……」

麗奈は、じと〜〜と私を見つめて滝先生は、音楽の指導者として尊敬しているだけだと何回も言った事を指摘した。

「うっ……それは、そうだけれども……てっきり恥ずかしくて本当の事を言えないだけだと思っていたよ……」

私は、麗奈の言葉を思い出して自分のほっぺたを右手の人差し指で触り恥ずかしくて本当の事が言えないだけだと思っていた事を伝えた。

「やっぱりそうだったのね。
久美子って勝手に勘違いする事が多いわよね……」

麗奈は、攻めるようにじと〜〜と私を見つめて私は、勘違いが多いことを指摘した。

「それは、ごめんって……
悪いと思っているよ。
そのお詫びに麗奈の言うことを何でも1回だけ命令を聞くから許してよ」

私は、両手を合わせて麗奈に謝り麗奈の命令を1回聞くことを約束をした。

「……本当に何でも命令を聞いてくれるのよね?」

麗奈は、意味ありげに少しだけ不気味に微笑んだ。

「うっ……何でも言うことを聞くよ。
でも私のできる事にしてよね」

私は、麗奈の少しだけ不気味な笑みを見て少しだけ麗奈から距離をとるように後ろに下がった。
私は、何でも言うことを聞くけれども私のできる事にしてほしい事をお願いをした。

「そうね……どうしようかな……
それならば今度は、久美子から私にキスをしてくれない?」

麗奈は、私のできる事にしてほしいって言葉を聞いて口元を押さえて真剣に悩むように考え込んだ。
麗奈は、私のほっぺたを触り色っぽく微笑んで私からキスをする事を命令をした。

「えっ、私から麗奈にキスをするの!?」

私は、麗奈のお願いがキスだと解り驚いたように大声を出して驚いた。

「あら、何でも言うことを聞いてくれるんでしょう。
今更無理だと言わないわよね……」

麗奈は、驚いた私の態度を見て怖いくらいにこやかに微笑んで私に近寄り約束をまもることを強制させた。

「うっ……解っているよ。
私の言葉に嘘は、ないよ。
麗奈にキスをしようじゃない!」

私は、むきになり麗奈を床に押し倒した。

「きゃっ!?
久、久美子……?」

麗奈は、私に押し倒さられると純心の乙女のような可愛らしい悲鳴をあげた。
そしてびっくりしたように目をうるわせて私を見つめていた。

「私を誘惑した麗奈がいけないんだからね……」

私は、麗奈の口に自分の口を近づけてキスをした。

「んんっ……れ……んっ……いな……う………んんんっ……」

私は、麗奈を求めるように激しくキスをした。

「んっ……くみ……んんっ……こ……う……んんっ……」

麗奈は、私に激しくキスをされるとあまりにも激しかったために苦しそうに目をうるわせて涙目になった。

「んんっ……れい……んっ……な……う……んんんっ……」

私は、麗奈の苦しそうなうるわせた瞳に何か目覚める感覚がしてさらに激しく麗奈にキスをした。

「やっ……んんっ……く……んっ……み……こ……う……んんんっ……」

麗奈は、あまりにも激しくキスをされたために苦しそうに涙目になりながら私の体を押してキスをやめさせようとした。

「んんっ……れ……んんっ……い……んっ……な……う……んんんっ……」

私は、目をうるわせて私を押してやめさせるのを無視して麗奈が逃げられないように体をしっかりと抱き締めてさらに激しくキスをした。

「んんっ……もう……んっ……う……んんっ……ん〜〜〜!?」

麗奈は、私に激しくキスをされて体力の限界がきて体をふるわせて倒れ込んだ。

「はっ!?ご、ごめん、麗奈が可愛らしくてつい激しくキスをしすぎたよ……」

私は、倒れ込んだ麗奈の体をささえて激しくキスをしすぎた事を謝った。

「は〜〜は〜〜……確かに私がキスをしてって命令をしたわよ。
でも激しくキスをしすぎよ……」

麗奈は、私に体を支えられてぐったりとしながらじと〜〜と私を見つめた。
そしてキスが激しすぎたと指摘をした。

「本当にごめんって麗奈。
でもこれで許してくれるんだよね」

私は、麗奈に謝り命令を聞いたから今までのことを許してくれることを確認をした。

「許すも何も初めから怒っていないわよ。
でも久美子がこんなに私を求めてくれるって事は、それだけ私の事が好きなのよね。
そう考えると嬉しいものね……」

麗奈は、嬉しそうにほんのり顔を赤らめて恥ずかしそうに照れ笑いを浮かべた。

「うぅ……もう麗奈ったら可愛らしいだから!」

私は、麗奈の恥ずかしそうに照れ笑いを浮かべた姿が可愛らしくてたまらず麗奈に抱き着いた。

「きゃっ!?もう久美子たらいきなり抱き着いたら危ないわよ……」

麗奈は、私に抱き着かれると小さく悲鳴をあげた。
でもすぐにしかたがなさそうに苦笑いを浮かべて私を抱き締め返してくれた。

「ごめんね、ついいつもと違う麗奈が可愛らしすぎてね」

私は、麗奈から離れながら麗奈が可愛らしかったから抱き着いた事を謝った。
麗奈から離れたのと同時くらいに下校時間を知らせるアナウスが鳴り響いた。

「それならば帰ろうか、麗奈?」

私は、鞄を持つと麗奈の方を向いて帰る事を述べた。

「ええ、帰りましょう、久美子……」

麗奈が鞄を持つと私と麗奈は、どちらともなく手を握り締めて下校道を歩いた。
今まで17年生きてきて色んな事があったと思う。
悲しい事も嬉しい事も嫌な事も楽しい事もたくさんあった。
中学生の時に将来麗奈と恋人になるとは、それでこそ夢にも思ってもなかった。
人生何があるのか解らないと思う。
でも解った事もある。
色々と悩んで私だけの心の音色を響かせた(自分でどうしたら良いのか考えたり自分の生き方に誇りを持つ事)りしたら素敵だと思う。

〜終わり〜