BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 君と僕と、ピンクとグレー。 ( No.15 )
日時: 2013/08/11 13:58
名前: 冬華 ◆tZ.06F0pSY (ID: 3Sm8JE22)
プロフ: 成×菊。


カモミールの優しい匂いと、薄暗いオレンジ色の部屋。ソファで菊によしかかってぐったり座る自分。

「うん、朝のミーティングでもひどい顔してたもんねー…。」

柔らかく、少し小さくしゃべる菊。
別に音からくる頭痛じゃないから大丈夫だって言ってもその口調が続くのはお仕事スイッチオンの印、職業病だろう。

「はぁ……。」

ライトも、お互いの顔が見えるくらいでしかないのにそれでも目を動かすたびに伴ってくる激しい頭痛。

「大丈夫ー? もう、絶対それ眼精疲労かなんかでしょ、」

「そーゆーのが病院行ったって治んないのは、お前だって知ってるだろ」

「……まぁ、そうだけどさ。」

ちょっと拗ねた顔をしてから、黙ってこっちに擦り寄ってくる。

頭痛くなって菊を呼ぶのもちょっと変だけど、薬は身体が拒否するから飲めないし心を休めないことには治らないんだから仕方ない。

ぎゅーって、あったかい菊を抱きしめて。ふかふか、毛布にくるまって。

「、身体、あっためたらだめなんだよ片頭痛は」

「離れるのはいやだし、っていうかやばいよ気持ち悪い…。」

「え、ちょっとこのまま吐いたら怒るよ、」

するっと離れていってしまう菊。さっさと立ち上がってキッチンの方に行ってしまった。
あ、ひどいよぅ菊カムバック・・・とかぶつぶつ言ってたら紙袋を持った菊が戻ってきた。

「吐きそうだったら吐いてもいいよ?」

「う、いや我慢します。。」

えー、我慢しないで吐いたほうが楽になるのにー、と何故かちょっと残念そうな菊に苦笑して遠慮します、と小さく答える。

はぁ、とまた息をついて目を閉じた成を見かねて菊もまたそっと彼の隣に腰を下ろす。



「……。よしよし、がんばったねー成。仕事、辛いんだもんね、」

小さい子をあやすように自分よりも大きいはずの俺の背中をさする菊。
いつものばかにしたようなあれではなくて、優しい、優しい声。
菊の体温が背中に、くっつく身体に伝わってなんだか泣いてしまいそうになる。

「菊ー…。」

「うん、大丈夫だよ、今日は泊まってってあげるからね、」

ぽて、とよしかかったらきゅっと頭とか肩とか腕に包まれて、何やってんのかなぁとか思いながらもゆるゆるしたその幸せに浸る。

「成、すき、すきだよだーいすき。」

いつも具合悪くなったら伝えてくれる、甘くてふんわりした愛。
普段は意地張ってなかなか言わないくせにね。

ちゅ、って目元にキスされてそっと唇にキスを返して。

仕事も、人間関係も、好きなことも。うまくいかないって、足掻くのが俺達だけど。
今夜くらいはぜーんぶ忘れて、ゆっくり眠ろう。
明日は久しぶりのお休み。たまにはこんな日だって、必要なんだ。