BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 君と僕と、ピンクとグレー。 ( No.17 )
日時: 2013/08/11 14:04
名前: 冬華 ◆tZ.06F0pSY (ID: 3Sm8JE22)
プロフ: 星空。



星の、笑った顔を見て思った。お説教する顔を、僕のために泣く顔を見て、ふと思った。

そうだ、指輪をつくろう、と。



「ほーしっ」

「…なんだよ、重たいよ」

背後から飛びついて、そのままくるりと向い合せに星の膝の上。
寝起きの、ちょっともさっとした髪の毛。それからこのいつもよりのんびりした口調とか、ぜーんぶ独り占めしたいと思う。

「へへ、どくせんよく〜♪」

「はぁ?」

きょとん、にはちょっと可愛くない眉間にしわを寄せた顔。
ふんふんふーん、って何気なくパジャマをまくったら頭をはたかれる。ひどいねぇ。

「変態」

「星にはいわれたくありませーん」

んー、星の口に自分の口を寄せたら寝起きはヤダ、とか言われて手の平で塞がれた。ちゅーくらいしてくれてもいいじゃない。

「もう、あげないよ?プレゼントー!」

「はい?プレゼント?」

今度はさっきよりはかわいく、きょとんとしてみせる星。
意味深にふふ、と笑って見せてから、再チャレンジ。彼の唇を自分のもので甘く塞いだ。

ふわりと漏れる鼻にかかった甘い声。わたあめみたいに心が白くなって、小さく小さく何度も繰り返し唇を合わせて。

そのうちなんとなく深くなってしまうそれ。いつものノリというか、若さというか、愛というか。

「んん、は、 っ星、 んや、べろちゅーは好きじゃないぃ」

今度はこっちがその口をてのひらで塞がなくちゃいけなくなる。ほんと本能に忠実な奴だなぁとこっそり呆れちゃう。

「はは、うそつき。好きだろべろちゅー。」

「すきじゃない、」

「じゃあいつもえっちの時したがるのは?」

「んー、……特別?」

でも確かに、そういう時は別だ。普段したって苦しいだけなのに。そういえば酸素量と性的快楽は繋がりがあるんだっけ?

「ふは、うけるお前、なに真剣に考えてんの?」

「な、うるさぁ、 やっぱりぷれぜんとあげなーい」

語尾っていうか、全体的に声が揺れた自覚はある。だからこれ以上はからかわないでほしいんだけどなぁ。

「あーハイハイぷれぜんと超欲しいっす空さん」

「むっかぁ」

くすくすと笑い交じりのやり取りをしながら、ベットサイドの低いテーブルの引き出しから小さな箱を2つ取り出す。
ひとつはさりげなく自分の隣に置いて、もうひとつをころりと星の膝の上に。

「んーなにこれ、  ……、って、え」

「あはは、そんな深い意味じゃなくてね、右手でいいから」

「………は、」

「朝ご飯作ろうか、なに食べたい?」

笑いながらさっさと立ち上がって、その顔は見ない様に。

「おいこら待て空」

反応はあんまり見たくなかったんだよな、なんてやっぱり図々しいだろうか。
ぱしん、と去り際に手首をつかまれるけど、振り返ることが出来なかった。

ただの上っ面の印にすぎないそれにひとりで期待するのはやっぱり怖くて。

断られたら、それってつまり崩れるってことじゃない?考えてみれば僕らはそういう話をちゃんとしたことは一度もなかったのだ。

「空」

「なに、はなしてよ」

「なぁ、なんでお前泣きそうな顔してんの、」

角度的に向こうからはこちらの顔がうかがえたらしい。くそ、そんな真剣な声出せれると弱いのに。

「………っ」

「なぁ、俺左手嫌とか言ったことあったっけ?」

ぽつん、と真っ直ぐ僕の方に向かってはじけた声。肯定も否定もできなくて、ただ次の言葉を待つ。

「なに勝手に渡すだけ渡して。俺の気持ちはお構いなしかよ?」

「、ゆったことない。ひだりてやだとかゆったことないけど。」

僕の食い違った返事に星が軽く停止して、すぐにあぁ、なるほどとまた肩の力を抜いた。

「ゆったことないよ、左手のはなしとかしてくれたこと、ない」

ば、と。僕の言葉に、震えた腕に星が素早く顔を上げる。
僕の腕をつかんだ反対の手がすっとこちらに伸びて、僕はびくりと目を閉じた。

「仕事では付けていけないけど。プライベートでくらい、左手につけても許してくれる?」

そっとそれらしく僕の頬に触れる星の手の平。にや、とこっちを見上げる目は僕に全部言わせるように完全に仕組まれていた。

「ぅ、わサイテー…… なんで僕が、」
「そもそも指輪の話を持ちかけたのは誰でしたっけ空さん?」
「っや、知らなぃ…もうなんでもいいよ、勝手にすれば、」

「………。それは、左手に、ってことでいい?」

全く本当に呆れてしまう。なにが楽しくて僕が逆プロポーズしなきゃいけないわけ。
まぁ多分、今既に星は僕の何倍もこの瞬間を楽しんでるんだろうけど。


「、やっぱ、り、右手じゃやだ。ぜったい僕から離れないって、ちゃんと誓って。」

「もちろん」

心の底から恥ずかしい。もう死にたい。死ねホント。
そんな満足そうな顔されるととっても、とっても悔しい。軽く返事しやがってこの野郎。

全部の思いをこめてばしりとその頭をはたくと、いってーとかなんとか笑ってからふぅ、優しく息を吐く星。

再度見上げてきた顔になに、なんなのと怪訝な顔を返すと彼はベッドから立ち上がって僕の目元にキスをした。

「これから先ずーっと、もしお前が俺のこと嫌いになっても一生、世界で一番好きでいるって誓うから、空も左手に付けてくれる?」

「………、うん、それならいいよ」

なにがいいよ、さ。僕も大概素直じゃないなぁ。態度だけでも素直になろうか、腕をその首の後ろに絡ませてみる。

ぎゅー…って、控えめであったかいハグ。
ぽんぽん、と背中をたたかれてふと彼から離れると、ほら、と左手を見せられる。

きらきら、控えめに煌めく僕の作った指輪。きらきら、僕の心もこれから先に出会う日々にときめいた。

これから先、一生の幸せをあなたに約束します。




>>まさかのゴールインwてゆうか文字数がヤバイ。短いのが書きたいなぁ。