BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 君と僕と、ピンクとグレー。 ( No.19 )
- 日時: 2013/08/25 17:03
- 名前: 冬華 ◆tZ.06F0pSY (ID: 2B8Mhr2b)
- プロフ: せんせー×ゆづき
(いい夢を。)
白い天井。消毒と何か変な匂いの布団。かたいベッド。隣にベッドがもう一台と、カーテンがその二つのベッドを囲っている。
保健室。見慣れた部屋だった。
「……せーんせ、」
「んあ、起きた? もー、なんでまた倒れるまで我慢するかなぁ。」
カーテンの外、やんわりとそう言ったせんせーは、口調に対して怒ってるようにはあんまり聞こえなかった。
うーん、別に我慢した覚えもなかったんだけど。そういえばなんかぼーっとしてきて、そんでー、ちょっとがんばって立ちあがってー、それからぁ、……あれ、なんだっけ。
あー…こうしてここを訪れるのは、何度目だったっけなぁ。
優しくかすれた声は、俺を安心させる。小さく開いたカーテンの隙間からせんせいの姿がのぞいた。
「せんせ、」
「なーに」
「んーむぅ……」
彼はふににと笑って見せるけど、目の下のきついクマとその顔色はあまり微笑ましいものではなかった。
不眠症。眠ることが出来ない、それが彼の病気だ。三日おきくらいに限界が来ては、こうして保健室に運ばれて半日くらい眠る。彼の、というか俺たちの日課。
なんでここなら眠れるの、なんて。そんな子供みたいな期待は、持っちゃいけない。。
少し、家庭に問題があったとは聞いている。彼の父親はかなりのエリートだったが、妻に暴力をふるう男だったらしい。やっと離婚して、なのに母親はたったその一年後に病気で亡くなってしまったんだとさ。
映画やドラマの、とっておきの怖いシーン。布団の中、もうすぐ意識を手放すというときにふとそれを思い出して、目を開けてしまうことはないだろうか。
静けさの中で騒ぐ鼓動。暗闇に何かがいるような妄想をして目を閉じられなくなってしまう。
その感覚によく似ているのだと、まどろむなか優月は笑った。
「せーん、せ、」
もう一度ふに、お得意の眠そうな笑み。たしかにとっても、とってもかわいいんだけどそれでも顔色が悪いのはやはりよろしくない。
「ちゃんとここにいるから。早いとこ眠っちゃわないと」
また余計なこと思い出しちゃうよ、口から出そうになった言葉を俺は寸前で飲み込んだ。
うん、ってまた嬉しそうにしてからゆったりと俺の白衣のすそを握って目を閉じる優月。
あぁほんとにもう、そんな顔で俺を見ないでってば、。生徒相手に、なにやってんだかなぁ俺も。
「ゆづき」
「……なにー…?」
不思議そうに、きょとん、って声。ふわふわに掠れて、もう出なくなってしまいそうな声が愛おしくなってその髪の毛をそっと撫でる。
むにゃー、って猫みたいに手にすり寄ってきて、ゆっくりと言葉を発する。そろそろ、睡魔に勝つのも限界のようだ。
「せんせー、すきー…だいすき、」
「……うん」
せんせーは?って。そう訴えられてるのは分かってる。だってこれも、ここ最近の日課なんだから。
「そーだね、ゆづきが起きたら、ちゃんと言うよ」
ちゃんと、言えるといいけど。今なら優月の記憶にも残らなくていいんじゃないの?とか。
本当は不器用になっちゃっても記憶にしっかり残って欲しいって、そんなわがままで。
ゆづき、の続きに言おうとしたセリフは、その優月に先取りされてしまった。
実は彼の方が一枚、うわてだったり、するんだなぁ。
どうか、俺がそばにいることで君が悪夢から救われますように。
>>やりたいネタで頑張った!なんかちょっとぼんやり系高校生になっちゃったけど。。
でも優月気に入ったなぁ。どうか続きますように←