BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 君と僕と、ピンクとグレー。 ( No.2 )
- 日時: 2013/08/11 08:11
- 名前: 冬華 ◆tZ.06F0pSY (ID: 3Sm8JE22)
- プロフ: 心中ネタ。
Happily ever after.
「——・・・っ!」
君が、本当に本当に小さい声で僕の名を叫んだ。 その、かすれた声。枯れたようなその声さえ美しい。
「 ねぇ、愛してるよ 」
君が僕を呼んで、僕が君に伝えて、……これが僕らの最期だよ。
右手に持ったナイフを、ゆっくりゆっくり君に捧げる。
左胸に滲むアカい——。 君の目が見開かれて、さまよいながらに焦点を失う。
グレーの瞳。 紫ががってて、とても好きなんだ。
そういう、目とか手首とかわき腹とかながぁく苦しいところを刺したり、しないよ。
もちろん、君の苦しむ姿は気味が悪いほどに綺麗だとは思うけど……最期にみたいだなんてさすがの僕も思わないんだ。
それになにより、このままの君を、可愛いままの君を残しておきたいからね。
残していい傷は、1つだけ。
君の心臓を、僕のナイフが、突き刺している。
苦痛に満ちている君の顔。
あぁ、なんて綺麗。 なんて艶やか。
「—っ…・・」
……ん?
「なんっ、・・でっ・・・」
「……なんで?」
どうして刺すのかって、聞きたいのかな?
もしかして、わかってないの……?
君が。 君が悪いんだよ?
僕は怒ってるんじゃないの。悔しいんだよ。
僕の声を聞いて揺らぐ淡いグレーの瞳。 ……君に、分かるのかな。僕の心ってさ。
「君が、婚約なんてしちゃうから………っ」
悔しかったんだよ。 親に決められたんだって、言い訳する君が。
でももう、平気だよ。 だいじょうぶ、ちゃんと許してるよ……。
「——・・っ ご、めっ・・・ あ、ぃして、る・・」
……あらら? おかしいな、君はもう、僕の事なんか愛してないんじゃないの……?
「っき、だよ・・・ぁいし、てっ、る・・・・よ…!」
足元に落ちたナイフ。 震える彼の手が、力なく赤く染まったそれを掴む。
「う、そ……」
呟いて、座り込んだ僕の胸に弱くナイフを当てる君。
「ほ、んと・・・・だから、いっし、ょ に ・・・・」
君の手に自分の手を添えて、そっと力を加えて。
「ごめん、ね・・・・ これか、ら、は ずっと、いっしょ、だね・・・・」
出せる限りの力で、彼を抱きしめた。
もう、返ってこない返事。 冷たくなってしまった、君。
「あぁ……」
そっか、
眠っちゃったんだね。
「も、うすぐ だね ・・?」
僕らだけの世界。
君だけの僕、
僕だけの君、
永遠ニ互イノ腕ノ中———……
>>題名の意味は、めでたしめでたし、です。