BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 君と僕と、ピンクとグレー。 ( No.34 )
日時: 2013/12/20 17:26
名前: 冬華 ◆tZ.06F0pSY (ID: F35/ckfZ)
プロフ: 成菊。


( キャンパス・ブルー )




「成、あのね、バイの人ってほとんどの人は結局異性と結婚するんだって。」

セミダブルのベットの中、薄い表情で彼は言った。こてりと腕に顔をのせて、寝転がったまま。
シャワーにも入らず、身体を拭いて下着のみで二人ベットの中ピロートーク。
その言葉は本当に突然だった。特に、そんなネガティブな話になりそうな雰囲気ではなくて。
なんでこの言葉がネガティブかって、それはまぁ俺達はお互いバイでお互い男だからなんだけど。
いまいち何の話か理解できなくて、眉間にしわを寄せたままゆっくりと息を吸い込む。
ストーブを消したままで事になだれ込んだせいで鼻を通る空気はうっすらと冷たかった。

「……、」

えーと、もしかしてそれは別れようってことか?思わず一瞬そんなことも頭をよぎったが、いや、そんなテンションな感じはしない。
多分、ただ単純に俺が試されてるってことなんだろう。なんて答えるか、どんな反応をするか、そこから俺の心を盗もうとしてる。
それから、これも多分だけど、なんかあったんだろう。そういう、繊細なネタに傷ついて俺といるのが怖くなっちゃったんだろうな。こうやって俺をなじって、自分を責め込もうとしているのかもしれない。

慎重に答えなきゃ、ひとつ失う。これもいくつもある菊のひとつだ。ここで誤った答えを出したらこの菊はもう出てこない。
ひとつひとつ失うごとに彼を追い込むことになるから。俺の前では、全部出せるよって。言ってほしいから。

少しの沈黙。柔らかな菊の吐息がふんわりと腕をくすぐる。じっと、真っ直ぐこちらに向けられた瞳。

「……うん、まぁ同性愛は楽なものではないからなぁ。やっぱり異性を選ぶ人は多いのかもしれないな」

きら、一度そらされた黒い瞳がこちらに戻って鋭く光った。 『俺はそうじゃないけどね』、そこまでつたわっただろうか。

「 成、」

低くかすれた声にどきりと心臓が飛び上がる。 う、間違えたかな。やっぱ、ありきたりすぎた?でもこういう時って案外単純な答えが欲しかったりする気がしたんだけど。

「  成、は、とても正しい人間だよね」

固く無表情な声にまたぎくりと体が固まって焦りを隠せない。

「……なんかそういうとこ、すごく安心する。」

そのあとぽつりと呟かれた言葉におもわず安堵の溜め息が漏れた。


「はは…そうかもね。俺は自分のそういうとこ、そんなに好きじゃないんだけど菊がそういうなら
それでもいいかもね。」

「うん、そうだねぇ」

突然、菊にいつもののほほんとした表情が戻る。鋭い、真っ直ぐな表情も嫌いじゃないけどね。
そういえばああいう顔、事後にしか見せてくれない気がする。
普段の顔じゃうまくポーカーフェイスできないのかもしれないな、なんて。なんだかんだ、俺もまだ全然菊のこと知らないんだ。

「……俺ばっかり見られてるよねぇなんか」

「は?セックスのとき?」

「いや、そんな話じゃなくて…」

くふふ、って楽しそうに笑う菊はどうやら完全通常運転に戻ったようで、いつものように俺をからかうような顔をする。

「ねー成、明日どっか行こうよ、イルミネーションとかさ!」

「えぇ…今日も一日歩き回ったじゃんか…」

まぁ、元気になったようでなによりですけどね…俺がひっそりと呟いた言葉は菊にはうまく聞こえなかったようで、菊はきょとんと首をかしげた。




>>キャンパス・ブルーはこのふたりのイメージカラー。