BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 君と僕と、ピンクとグレー。 ( No.36 )
日時: 2013/12/25 14:50
名前: 冬華 ◆tZ.06F0pSY (ID: F35/ckfZ)
プロフ: ジャンアル

( Always in my mind )

ふわふわ、闇の中で踊るひとつの影がありました。




静かな夜。外では雪が夜空を舞っているようで、その静けさは透明だった。
寒いな、足もとが空気にさらされて寝返りを打つ。……と、枕元に誰かの気配を感じた。

そっと、僕の頭に触れたのは大きな手。

「アルミン、…起きろよアルミン」
「!」 

はっと目を開けると、枕元に立っていたのは、彼だった。
ココアブラウンの瞳を照れくさそうに細めて笑う。

「……!」

「メリークリスマスアルミン、聖ニコラウスからのプレゼントだ」

彼は言いながら片手を広げて部屋の奥のテーブルを指した。 そこにはきらきらとまぶしいキャンドルや華やかなディナーが広げられている。

「…すごい…どうしたのこれ、どうやって……?」
「だぁから言ってんだろ、よい子のアルミンにプレゼント」

僕がどう訊いても、彼はすべて知ったような顔で笑うだけだった。

「こいよ、アルミン。急がないとクリスマスが終わっちまうぞ」

彼が差しのべた手を、僕はふわふわと夢見心地に握って立ち上がる。
ぎゅっと握られた手。その手は強くてあたたかくて、僕をひどく安心させた。


「……お相手願えますか?」

正面から僕を見つめたジャンは今まで見たこともないような優しい顔で微笑んだ。

「え、そんな僕ワルツなんて踊れないよ…!」
「大丈夫だ、俺も踊れない」
「えぇ…誘ったくせに」

口を尖らせた僕を笑いながらそれらしくリードしてみせるジャン。僕はパジャマのままだし恥ずかしかったけど、それ以上に全てがうれしかった。

「ほらっ なんとなくそれっぽいだろ!」

くるくると適当に回ってジャンは楽しそうだ。僕も笑った。クリスマスツリーなんてないし部屋だって寒くて息も白いくらいだったけど、楽しくて目が回るくらいに幸せだった。

「…ジャン、くらくらするよ…でも、 」


でも止まったら消えてしまいそう。終わりたくない、終わらせたくない。



変だな、どうしてそんなこと考えるんだろう。僕らはちゃんとここにいるのに———…






『アルミン、 おいっ アルミン!』

遠くから誰かの呼ぶ声がする。 誰…?僕らの幸せを壊さないでよ……。


「おいってば、なぁ、アルミン!!」
「!!」

音が目の前に迫って、驚いて僕は目を開けた。 目を、開けた。

「……ジャ、ン?」

「、違う、しっかりしろアルミン、俺はエレンだし ジャンはもういない」

「……………え?」

「おまえも見ただろ、アイツはもういないんだよアルミン、いい加減目ぇ醒ませ…」

クリスマスの夜。少年は、幼馴染がひとり闇の中踊るのを見つけてしまいました。
こうして夢で恋人を探す幼馴染を見るのも、少年にとって初めてのことではありませんでした。

どうして。いつも、残されたふたりの心にはその言葉がありました。

「あ、ぁあ、あぁぁ…ジャン、ジャ、ン……ッ」




サンタクロース、あなたが本当にいるのならどうか、





>>悲しいクリスマス。ジャンアル+エレンでした。エレンに恋心はないつもりです。
まぁ、この三人が実際に死んでしまうことはないだろうってことで(笑)

成菊はワインとディナーで大人なクリスマスを、星空は若いから過ち的な性夜なクリスマスを過ごすことでしょう。

それではみなさん Have a merry Christmas!    With love,冬華+*

全ての人に愛のあるクリスマスが届きますように。