BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 君と僕と、ピンクとグレー。 ( No.4 )
日時: 2013/08/11 08:16
名前: 冬華 ◆tZ.06F0pSY (ID: 3Sm8JE22)






ほた、ぽたぽた、と。雪の中に涙がしみて水色に、暗い色に変わる。

この暗い色だって、あの日の紅色に比べたらなんてことはない。


'’ごめんね、''

そう小さく呟いた彼は、あの時薄く笑っていた。なにを言っているのか、もっとちゃんとわかってやればよかったのに。

もっともっと、大切にして守ってやればよかったのに。



サヨナラ

最期に動いた口は、恐らくそう空気を出していた。

アイツが携帯の送信ボタンを押すのと、利き手で持ったフルーツナイフで喉元を掻っ切るの。
一体どちらが早かったかなんて俺にはわからない。

でも次の瞬間に俺のポケットで鳴るメールの着信音と、彼が涙をこぼして倒れるのと、それはきっと彼の方が早かった。


なんで。 どうして。

その答えはすべて、大量のメールにしるされていて。
辛い、苦しい、死ね、……愛してる。


彼はすでに遊びの関係に耐えられなかったのだ。
俺達の、まじめじゃないフジュンな関係に。
周りから必死に隠れなきゃいけないこの関係に。

俺の、臆病さに。

失ってから気付くなんて。 自分の弱さに、彼の脆さに、心を染めた愛に。



いっそ憎んで欲しかった。

失うと知っていたら、それこそ本当に自分の世界さえ敵に回したというのに。



あぁ、ああ、嗚呼。



「愛してる……っ、」


声が震えるほどに、それは心からの真実なのだから。