BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 君と僕と、ピンクとグレー。 ( No.6 )
- 日時: 2013/08/11 08:23
- 名前: 冬華 ◆tZ.06F0pSY (ID: 3Sm8JE22)
<り@ちゃんの 瓦解するアリスブルー のキャラクター佐野くんとゆーきくんのお話。>
付き合って3ヶ月の話。の後談。
( SweetSweet,Sour. )
「佐野、はい、これぷれぜんと」
ぼーっとしていた目の前にいきなり現れた、黄色い球体。
……ぷれぜんと?
「なんですかゆーきさん、このかわいいものは、。」
「うん、かわいいでしょ?」
いやごめん、全然会話が噛み合ってないんですが。
やけに嬉しそうな顔して、ころん、て手のひらの上でそれを転がしたゆーき。
なんか地味に何かたくらんでるように見えるんですが。。
「……それ。なに?」
「…、……リップ、クリーム、です」
ふにゃ、と。不意に、可愛らしくはにかんだゆーきがたまらなく愛おしくて。
あー、痛いなぁ俺…とか思うけど、それは結局にやけそうになるのを抑えるためのストッパーなだけであり。
結果的に、ストッパーは大した効果も出してはくれなくて。
まぁ、つまりは可愛いなって気持ち抑えきれなくて。
隣に座るゆーきにすい、と顔を近づけてゆるやかに口付けを交わす。
「あ、ほら、」
「なに。」
「くち、かさかさ。」
「………、」
「なんか俺より佐野が気にしてるような感じがしたから」
あ、そうかも。。
いきなり芯を突かれた気がしてつい、んな訳あるか、なんて口を利く自分が、ちょびっと嫌い。
そっぽを向いた俺にきょとん、と効果音がつくような顔をしてからにやっと猫のように笑ったゆーき。
「ふ、ほらほら、俺が塗ってあげるからぁ」
「え、ちょ、それはやめようよ…え、ゆーきっ、」
きゅきゅ、と球体のふたを開けて指に薄くクリームをまとわせるゆーき。
そう、のんびり言いながら何気に素早いその指が近づく。
……俺の、くちに??
なんか、どーしようもなく恥ずかしくて思わずその手を自分の手で軽く押さえる。
「逆になんでだめなの?」
「、」
「かさかさだと気になるんでしょ?口って切れたら案外痛いし。ね?
俺、ちゃんと手ぇ洗ったよ。なんなら消毒もしてきますけど、、。」
なんだそれ。
そんな言い方じゃ、俺が潔癖症みたいじゃんか。
けど、口がうまく動いてくれない。
恥ずかしいから、なんて言いたくないしその言い訳なんかも浮かばない。
あぁもう、どうしよう。なんか、なんかもう、……思考停止、かも。
「……さのー?」
………
…………
……、
しばらく、ゆーきが微かにもぞり動く音だけ。
あと、冷蔵庫の、きー・・・って高い機械音。
あ、ちょっと怖い、かも。
「も、ばか。」
静かな、ゆーきの声。 冷蔵庫と静けさの音に消えていった。
触れた。 なにがって、多分くちびる。
くちびるとくちびるが触れて、心臓がはねた。
どっくどっく、いや、そんなじゃないな。うまく表わせないけど、とにかく正常じゃないほど暴れてる。
くそ、なんでこんなに顔熱いんだ。
そっとゆーきが離れて、ふわりと細い髪が揺れる。
そして今度は、そっとゆーきの指先が自分の口に触れてしまった。
「佐野、…の、目がきれい。」
ぽーっと、雰囲気に丸め込まれた俺達。ふにゃふにゃと、なんとなく色っぽい空間に包まれる。
ぬりぬり、って指にクリームをまとわせては俺の唇に触れるゆーき。
「……ゆーきには敵わないけど、ね、。」
つい、そんなこと言ってしまう自分。まったく、ほんと敵わないよ。。
甘い、ちょっとすっぱい香りが鼻をくすぐって。
甘い、はちみつとれもん。
ついつい、心もくすぐったくて。
なぁ、そろそろ塗りすぎじゃない?つか、もうそれ俺の唇触ってるだけで全然塗れてないよね?
ゆーきも案外雰囲気に溺れちゃってるなぁって少し可笑しかった。
少し、嬉しかった。俺だけじゃないかもな、って。
悩むこともある。苦しいときもある。泣きたいと、思う時だってもちろんある。
でもそれはきっと俺だけじゃなくて。ゆーきも、おんなじことで悩んだり泣いたりして。
そうして、俺達は強くなるのかもしれない。
口が荒れちゃったら、こうやって優しく指先使って治せばいい。
これは多分心においても同様、なんだと思う。
ひりひり痛くなった時は、はちみつレモンのクリームでじんわり温めて治せばいい。
いい加減、指はなせよ、そう言おうとして口を開いたけど。
なんかついでにとんでもなく恥ずかしいこと口にしてしまいそうで再び口を閉じる。
ゆーきの手をそっと下ろして、再び重なる唇。
あ、リップクリーム、取れちゃうなぁ。
まぁいっか。また塗ればそれで、ね……。
>>甘さ3分の2、すっぱさ3分の1、にしようとした名残でこの題名。糖度高めだなぁ…!