BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 君と僕と、ピンクとグレー。 ( No.7 )
- 日時: 2013/08/11 13:35
- 名前: 冬華 ◆tZ.06F0pSY (ID: 3Sm8JE22)
- プロフ: 星×空。
「—————…。」
『やめて、っや、やだやぁだお母さんやだぁ……ッ!』
正直言ってこの女嫌い、もっと言ってしまえばこの性癖も対人恐怖症も、自分じゃなく神様じゃなく、アノ母親のせいだろう。
そんな過去のコトなんか責めても人ごみへの恐怖なんか消えないし、隣の怖い香水の臭いだって紛れてはくれない。
タタン、、タタン、、タタン、、、
静かな、…僕にとっては大きなその規則的な音が。
ドクン、ドクン、と嫌にはねる心臓音に重なってゆく。
ココハ電車ノ中。 逃ゲルコトハデキ無イ。
「……っ、………っ!!」
まずい、また発作を起こしそうな気がする。 じんわり、頭皮ににじみ始めるいやな汗。
「……ぉぃ、空? 大丈夫か?」
「…ん、へーき……。」
俯いた自分の顔を覗き込んで不思議そうな顔をする星。
あぁ、これ以上になったら気付かれてしまうなぁ。
脳へ送られる酸素が薄くなりはじめて、でもうまく息を吸い込むことが出来なくて、涙まで溢れてきて。
どうしようどうしよう、星に心配はかけたくない、
けど、苦しい。
苦しくて苦しくて、目の前はすでに霞みはじめていて、もうどうしたらいいかわからないしこんなのどうしようもない。
「……空?」
無理やり息を吸い込んだら隣の女の人の香水が鼻を突いて吐き気が込み上げてきた。
ぅぇ、小さくえづきが漏れて立っていられなくなる。
倒れてしまったらそれはそれでもっと大変だろうから、いつも限界が来る前にしゃがみ込んでしまう。
ひゅ、と壊れた音を立てた喉が絞まるような感覚に陥る。
「……あ、やっぱり発作起こしちゃったか。 ほら、大丈夫かー。」
自分の隣に座り込んで額に触れてきた綺麗な手。
だめだよ、星。星が汚れちゃうよ。
「ぅ、……っは、ぁ…ぁ、っ……ぅあ、」
ますます苦しくなって。こんな自分、星に優しくしてもらう資格なんかないと思うから。
ん、ん、って変な声で何かを求めるけど、その何かなんて自分にさえ分からなかった。
のに。
「うん、大丈夫だよー…。怖くない怖くない。俺がいるよ、」
自分ですら分からなかった求めを、星はしっかり分かってて。
微笑を混じえた優しい声で、自分の心を落ち着かせること。
それからぎゅーっと自分のこと抱きしめて、隣のキツイ香水から思考を切り替えること。
変に安心してしまって、我慢していた涙がとめどなく溢れかえってくる。
当たり前だけど余計息が出来なくなって、じゃがんでるのも辛くなって星の腕の中に倒れてしまった。
「……おっと、…って、そら、そら、」
少し不安そうになった彼の声が優しく響いて、落ち着け、落ち着けって自分に言い聞かせるのに逆に呼吸は浅く速くなってゆくばかりで。
「で、きなっ…できないっ…ぃき、できな・・・ッ!!」
目の前が白黒してきて、いよいよパニック状態。ちいさい、甲高くなった声が星に何かを訴える。
このまま死んじゃうんじゃないかって錯覚にとらわれて、いつも死にたいと思う気持ちなんか忘れて。
「、」
「んん……ッ」
少々荒く口に押し付けられたこの唇が、僕の精神安定剤。