BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 君と僕と、ピンクとグレー。 ( No.8 )
- 日時: 2013/08/11 13:37
- 名前: 冬華 ◆tZ.06F0pSY (ID: 3Sm8JE22)
- プロフ: 星空。
(そうして、不意に訪れる幸福。)
「……だいじょうぶ?」
「ぅ、ぅえほっ げほっ …あんまり……。」
「案外よわいよね、からだ。」
「お前ほどではないけどな……。」
「あははw 僕ら、こんなんで将来どーすんのかなぁーww」
呑気に笑って天を仰いだその姿。 きらら、と瞳が無邪気に輝いている。
「まぁなんとかなるよねー。」
ふぅ、と伸びをしてから漏れたため息とコトバ。
そのため息は、疲れからでも気だるさからでもなく……幸せからのもののように聞こえた。
熱、上がったかな。ぼんやりと甘く鈍くなってゆく思考の中で、どうでもいいことばかり馳せる。
基本的、隣のコイツのことばっかだけど。
空、最近発作起こさないけどコイツちょっとは強くなれたのかなとか、
どーでもいいけど空の髪の毛すげぇおいしそうミルクティーみたいとか、
ふわりふわり、優しい布団の匂いのなか。なんだかとっても、心地いい、なぁ。
「……ん…。」
「あ、おはよ。」
あらら、いつの間にか、眠ってしまったらしい。
窓越しに見える空。 オレンジ色に、マンゴーみたいにきらきらしてる。
隣の、嬉しそうな空。ミルクティー色の瞳を、マンゴー色に照らされて明るくしている。
にんまり、してて。なんか嬉しそう。 ……何がそんなに、
「寝顔、ゲットー♪」
やる気のなさそうな声に おんぷ、てゆかはぁと?みたいのが混ざって。
奴はこちらにケータイの画面を向けてにっこり笑った。
そこに映っているのはもちろん自分で。 バカっぽい寝顔。うわぁ、最低だ。
それを消してやろうと手を伸ばしたら頭がくら、と。目の前がゆがんだ。
「っ、」
込み上げた胃の辺りの気持ち悪さのせいでまたまくらに顔をうずめる。
あ、気持ち悪いかもしれない。ぼんやりした頭がそんなことを思って尚更バカらしかった。
「星、……ごめん、ごめんね大丈夫?」
少し不安そうな声はなんだか少し遠くにいるみたいに聞こえて、うーん、いつも空はこんな嫌な世界を味わってるんだろうか、そう思った。
ほんのり、涙が瞳を包む。そっと髪の毛を撫でられて、目を細めると空の微笑が耳をかすめた。
「……ねむいー…。」
「ふふっ なんか作ってあげよーか?おかゆ、とかオートミールとか。」
完全にいつもと立場が逆で、口に、表に出してこそいないけれど多分俺達かなりノってる。
「…うーん……どっちでもいい、けど、 オートミールは朝ごはんだからおかゆがいいかなぁ。」
「りょーかい、」
いつもそんなに表情出さないくせに、今日はやけに にこにこ 嬉しそうに笑ってる。
ふいにおでこにキスされたりして。なんかすごい照れる自分も変。。
「……やけに楽しそう、ですね…。」
「だってあなたが弱ってる姿なんてめずらしいですから…。いつもは世話されてばっかりだから、 かわいいなぁとか思、たりして楽しい、ですよ?」
ちょっぴり恥ずかしそうに、それでいて幸せそうに話す姿。
綺麗な顔立ち。ミルクティー色の瞳と髪の毛に乳白色の肌、それらが柔らかな部屋の木の色によく映える。
こんな感覚は、ずぅっと忘れたくないなぁ、ゆっくりとそう思った。
「ねぇ、不思議だね、星。」
「……ん?」
「僕、幸せだよ。 変だね、あんなだった僕がこんなになって幸せだなんて。…あ……、なんか、やば ぃ……泣きそ、」
ふにゃっとわらってからその顔崩してまぁるくしゃがみこんだ空。
努力した人っていうのは、案外簡単に泣く。努力が結果に変わったら、もういくら泣いても誰も怒らないからかもしれない。
最後に笑ってるのは、ホラね、お前なんだよ空。
……まぁ、今はなんか泣いてるけど。でも悲しい訳じゃないはずだし。
ふらふらする頭を必死に引っ張りあげて、立ち上がった。
そんでいつものように俺が隣に座るんだろうと思ったら、違ったらしい。
空が勢いよく立ち上がって、そのまま俺ごとベットにダイブしてきた。
「………っは、」
「あ、ごめん熱あるの忘れてたw」
「……痛い…。」
「ごめんってw」
もぞもぞ、また俺ごと布団に入れてはにかむ空。
さぁ、そろそろ空が闇色に染まる。そして顔を出す、銀色の綺麗な星。
いっそこのまま眠っちゃおうか? ふたりでゆったり柔らかな幸せを噛み締めて。
のろのろ、しっとりと過ぎる時間。 幸せっていうのは、こうやって不意にやってくるものなのだ。